イスラム教の犠牲祭(イード・アルアドハー)であった12月21日、パキスタンのペシャワルから南東へ30キロの北西辺境州のチャルサダにあるモスクで自爆テロが発生し、少なくとも55人が死亡し、100人以上が負傷しました。今回の自爆テロは、シェルパオ元内相を標的としたものだと見られています。
爆発発生時、シェルパオ元内相は、家族やほかの信者たちと一緒に、モスクで礼拝をしていました。目撃者によりますと、テロリストは、礼拝をする人々の中に紛れ込んでいたということです。シェルパオ元内相は無事でしたが、息子が負傷しました。シェルパオ元内相の報道官は、「シェルパオ元内相が標的にされたことは明らかだ」と述べました。今の所、犯行声明は出ていません。
これは、今年に入ってから、シェルパオ元内相を標的とした二回目の襲撃事件です。この4月、シェルパオ元内相の支持者たちが行った集会で自爆テロが発生し、28人が死亡、シェルパオ元内相は軽い怪我をしました。
シェルパオ氏は、パキスタン人民党シェルパオ派の代表です。2004年9月から今年11月まで、内相を務めました。関係者は、「シェルパオ氏が内相の任期中に、テロリストや過激派勢力の取り締まりに積極的に取り組んでいたため、テロリストからの報復を招いた」と分析しています。
パキスタン政府は、11月末、2万人の軍隊を動員して、北西辺境州のスワート地区の反政府武装勢力を対象に掃討作戦を行い、290名の武装勢力のメンバーを射殺しました。地元の反政府武装勢力は、このほど、自爆テロによってパキスタン軍隊に仕返しをすると宣言していました。12月に入ってから、パキスタンの各地で自爆テロが相次いで発生し、数十人が死亡しました。
しかし、人々は、テロリストが犠牲祭という特別な日に、しかもモスクという神聖なところでテロ行為を行うとは思いもよらないことでした。これは、パキスタンがいまだにテロの脅威が無くなっていないことを表しています。
爆発事件発生後、ムシャラフ大統領は、声明を発表し、この自爆テロを強く非難し、政府がテロリストや過激派を取り締まる決意を改めて強調しました。
来年1月、パキスタンでは、議会選挙が行われる予定です。しかし、パキスタンの現在の国内情勢は微妙なものです。テロリストが頻繁にテロ行為を起こし、この地域の情勢に大きな影響を与えています。パキスタン政府がどんな対策を取るのか国の内外から注目されています。
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