アメリカのライス国務長官は、6日、イギリスを訪れ、ブラウン首相をはじめとするイギリスの指導者らと、アフガニスタン問題で、EU・欧州連合がより多くの役割を分担することについて話し合いました。
この日、イギリスの首相官邸が、「ブラウン首相とライス国務長官は、いかにしてNATO・北大西洋条約機構が不安定なアフガニスタン南部への兵士の増派を説得するかについて話し合った」と述べたものの、具体的な内容には触れんませんでした。ライス国務長官は、これに先立って行ったイギリスのミリバンド外相との会談の後、「一部の国が危険なアフガニスタン南部に軍隊を派遣したくないので、NATOは本格的な試練に直面している」との考えを示しました。これに対して、ミリバンド外相は、「アフガニスタンでの使命を果たすため、イギリスは十分な兵力を派遣している。7700人というイギリスのアフガニスタン駐留軍の数は適切な数字だ」として、イギリスはアフガニスタンに兵士を増派するつもりはないと表明しました。
ところで、ライス国務長官のイギリス訪問は、アフガニスタン情勢の著しい悪化のもとで、行われたものです。イギリス国際戦略研究所が発表した最新の年度報告によりますと、2007年に、NATOが主導するアフガニスタン駐留「国際安全援助部隊」の行動が深刻な挫折を受けたことで、過激主義の勢力が拡大しただけでなく、重要な戦略的な国がテロ組織と麻薬の取引の天国になりかねないとしています。同時に、アメリカの評価グループも、まとめた報告で、「『タリバン』武装勢力の軍事力は強い勢いで蘇っている。縄張りを絶えず拡張し、アフガニスタン国土の半分以上を掌握している。もし、アメリカやNATO及び国際社会がすぐ効果的な対策を取って、この状況を逆転させないと、アフガニスタンは分裂し、『失敗した国』、『テロリズムの避難所』になりかねない」と指摘しています。
この状況に対応するため、アメリカは先月末、同盟国に軍隊と装備をアフガニスタンに増派するよう、求めました。その後のしばらくの間、ライス国務長官は、フランス、ドイツ、オーストラリアとそれぞれ話し合い、兵士の増派を希望しました。
しかし、アメリカの求めに対して、NATOの反応は冷たいものです。フランス、イタリア、トルコなどは、兵士の増派をしたくないと示しました。イギリスは、これらの国と違う態度を取っているとは言え、アフガニスタン南部で作戦している数カ国の一つです。アメリカとイギリスの特殊な両国関係の枠組みの下で、アフガニスタン問題については、イギリスは終始アメリカ寄りになっています。2008年春、イギリスはイラクへの駐留軍を2500人に削減し、その分アフガニスタンに充てることにしています。これで、アフガニスタン駐留イギリス軍は、NATO総兵力のおよそ15%の7700人ぐらいになりますが、今後数ヶ月内に、ヘリコプターやその他の装備を送ると、計画されています。
これでは、イギリスはこれ以上の負担はできないと専門家は、分析した上で、「ライス国務長官のイギリス訪問は、イギリスと立場を調整することを狙っているものの、イギリスは、アメリカをこれ以上支援することができない」としています。 (翻訳 朱丹陽)
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