アメリカのブッシュ大統領は、1ヶ月余り行き詰まったイスラエルとパレスチナの和平交渉の再開を促すため9日と10日、イスラエルとパレスチナを訪れました。
ブッシュ大統領はイスラエルのオルメルト首相やパレスチナ自治政府のアッパス議長とそれぞれ会談しました。10日、この訪問を総括する実質的な内容のある講演を行いました。
ブッシュ大統領は講演で、初めて、パレスチナとイスラエルの領土問題に具体的に触れ、「領土問題の解決はパレスチナとイスラエル双方の話し合いが必要で、平和協定の達成は双方の政治的な譲歩が必要だ」と強調しました。また、1967年から行なわれてきたアラブ領土の占領を中止するようイスラエルに呼びかけ、「今後、パレスチナとイスラエルの平和協定は必ず、パレスチナ人に属するパレスチナ国、ユダヤ人に属するイスラエル国の成立を同時に確保しなければならない。パレスチナとイスラエルの国境問題についての協議を達成するには、当面の具体的な状況を踏まえて、1949年の停戦境界線に対する調整を行う必要がある」と述べました。ブッシュ大統領はまた、イスラエルのシャロン前首相の約束を改めて明らかにし、「イスラエルは1967年の第3次中東戦争で獲得した土地から全面的に撤退する必要がない」とし、パレスチナ建国や、補償を含む新しい国際メカニズムの創設によって、パレスチナ難民問題の解決を探ると共に、エルサレムの地位問題の解決方法を求めるために引き続き努力するよう促しました。
これは、ブッシュ大統領が来年1月に退任するまで、パレスチナとイスラエル和平交渉をまとめようとしていると見られています。しかし、問題解決の鍵はなく、この目標は実現できないだろうと見られています。
まず、ブッシュ大統領は、双方の和平交渉に困難をもたらす直接な原因、つまり、東エルサレムとヨルダン川の入植地などの問題を回避しました。アッパス議長はブッシュ大統領との会談で、国連の決議に基づいて、エルサレムに首都を置く希望を提出しましたが、明確な返答はありませんでした。一方、オルメルト首相は東エルサレムでユダヤ人入植地の拡大中止を求めたアメリカの要求を拒否し、エルサレムの地位問題をその他の地方の入植地問題と区別し、あらゆる問題を今後の交渉で討議することにしました。これはパレスチナとイスラエル交渉に依然として危機が存在していることを物語っています。
ブッシュ大統領の今回の中東訪問によっても、パレスチナとイスラエル問題は解決せず、その和平交渉は依然として困難な状態にあると見られています。(翻訳 董)
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