アメリカのブッシュ大統領は8日から16日にかけて、イスラエル・ヨルダン川西岸地区・クウェート・バーレーン・アラブ首長国連邦・サウジアラビア・エジプトを訪問します。そのうち、イスラエルとヨルダン川西岸地区はブッシュ大統領にとって就任後、初めての訪問となります。関係者は「ブッシュ大統領の中東歴訪はパレスチナとイスラエルの和平交渉を推進するだけでなく、イラン核問題をめぐりテヘランに圧力をかける狙いがある」としました。今日の時事解説はこれについてお話しましょう。
去年11月、アメリカが主催する中東和平国際会議がアメリカ東部のアナポリスで開かれ、パレスチナとイスラエルの紛争解決に向けた話し合いが行われました。しかし、会議後、イスラエル側はパレスチナとの和平交渉に新しい制限条件を提出しました。その条件とはすなわち、パレスチナ側がテロ組織を取り締まるまでイスラエルは中東和平協議に調印しないことなどです。これと同時に、イスラエル側はユダヤ人入植地を増設し、中東和平交渉に新しい難題を持ち込みました。
アナポリス国際会議の成果を着実に実行するため、ブッシュ大統領はイスラエル側の味方をする態度を変えて、イスラエルの入植地増設計画を初めて非難しました。ブッシュ大統領は「入植地増設活動がパレスチナとイスラエルの和平交渉を妨げている。イスラエルは不法なユダヤ人入植地を取り壊す承諾を履行すべきである」と指摘しました。
アメリカのマスコミは「ブッシュ大統領は政権任期の最後の年にパレスチナ・イスラエル間の和平交渉を進展させることで、外交面での功績を残したい構えだ」としました。しかし、ワシントンの国際専門家は「中東問題はかなり複雑で、一年以内に解決させることは現実的ではない」と見ています。
パレスチナ・イスラエルの和平交渉のほかに、ブッシュ大統領にはもう一つの目的があります。それは、イラン問題で中東諸国の支持を得ることです。
アメリカの情報機関はこのほど、「イランは2003年に核兵器開発計画を停止しており、現在も停止状態が続いている」との分析結果を示しました。この発表により、ブッシュ政権は苦しい立場に立たされ、アメリカのイラン攻撃の可能性は大いに減少しました。しかし、ブッシュ政権は対イラン政策を変えることはありません。アメリカは依然としてイランが中東地域における最大の脅威だと強調し、イラン攻撃の可能性も排除していません。しかし、アメリカのイラン政策は中東諸国の支持を得なければならなりません。ブッシュ大統領は今回の中東歴訪で、中東諸国の支持を得ると同時にイランをさらに孤立させようとしています。専門家は「中東諸国はイランの核計画に警戒心を持っているが、アメリカのイラン攻撃には反対しており、それが地域情勢を更に不安定にさせると懸念している」としました。
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