アメリカ海軍と海兵隊、それに沿岸警備隊は合同で「21世紀における海上軍事力の協力戦略」を発表しました。
これは、アメリカ海軍大学で、現地時間10月17日に行われた国際シンポジウムで発表されたものです。
16ページにわたるこの「戦略」は、これまでの狭い意味での海上軍事力競争を人道支援や国際協力による紛争防止とテロ撲滅に拡大しています。
2年間にわたって検討されたこの「戦略」は「アメリカにとって、戦争の防止は勝利と同じく重要であり、有事に備えた海上軍事力の増強に加え、国際社会との協力と相互信頼を強化しなければならない」としています。
また、この「戦略」は「アメリカは自国と同盟国の利益を守り、潜在する競争相手を抑えるため、西大西洋、インド洋、ペルシャ湾岸地域で大規模な軍事力を維持していく。今後、アメリカの海上軍事力は情勢が緊張した地域や同盟国に要請された地域に集中させる」としています。
アメリカ軍筋は「新しい海上軍事力の協力戦略は人道支援と経済支援をハイテク戦術と同じ地位に付けている」としています。
軍事オブザーバーは「この新しい戦略は人道支援と国際協力による紛争防止を強調している。1980年代の戦略は旧ソ連への攻勢を重点とし、海上軍事力による抑止を目的として、標的への攻撃や戦艦の撃沈を想定していた。新しい戦略は柔軟な力を強調して、対外支援や養成訓練など協力の強化による紛争防止というアメリカ軍の軍事思考の変化を反映している」としています。
世界の安全保障環境は変わりつつあります。
去年6月、アメリカ海軍作戦部は「安全保障と国家利益を擁護するため、新しいグローバル戦略を策定すべきである。冷戦時代が終わった現在、テロリズム、大量破壊兵器の拡散、組織的犯罪などが世界の安全を脅かしている。海は攻撃に利用される区域となっている。テロや海賊の撲滅、大量破壊兵器の拡散防止、人道支援の実施などに対応するため、海軍は小規模作戦部隊の派遣が必要になっている」と提起しました。
アメリカの国内メディアによりますと、アメリカ軍は単独でのテロ対策は不可能であり、事前の防止と勝利は同じ重要性をもっていると認識しています。
「一国主義」や「先制攻撃」、また、イラク戦争開戦の大義名分も得られなかったことなど、アメリカのイメージは損なわれています。
これを受け、ブッシュ政権は対外政策の一部調整を行っています。
国際問題アナリストは「アメリカ海軍の新しい戦略は柔軟性を示しているものの、その根本的な目的は変わらない。それは重要な海上輸送ルートの安全を確保し、テロ対策を継続して、紛争地域に対する影響力を拡大し、潜在的な競争相手を抑え、盟主の地位を維持することにある」としています。 (ジョウ)
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