イランのアフマディネジャド大統領は27日、第62回国連総会に出席した後、ボリビアとベネズエラに対する公式訪問を行い、両国の指導者と一連の協定を結びました。これについて、専門家は、「アフマディネジャド大統領の今回の訪問は、イランがラテンアメリカの反米国家と戦略的同盟を築くための一歩であり、イラン核問題におけるアメリカの圧力への対抗だ」と見ています。
アフマディネジャド大統領の今回の訪問は、ボリビアとの新たな同盟関係を確立した上で、ベネズエラとの友好関係を一層固めました。ボリビアに対する訪問期間中、アフマディネジャド大統領はボリビアのモラレス大統領と会談しました。会議後、双方は共同声明を発表し、「両国は、公平かつ民主的な多極化した世界の構築に努力していきたい」と強調した上で、近いうちに国交を樹立する意向を示しました。ボリビアとベネズエラはいずれもラテンアメリカの国で、ラテンアメリカは一貫して、アメリカにとって重要な地域とされています。イランが今、アメリカに敵視されているこの両国との関係発展に成功したことが、アメリカにとって何を意味しているかは、いうまでもありません。
また、イランは、核エネルギー開発への支持を絶えず求めています。アメリカは一貫して、イランが行っているウラン濃縮活動の目的は核兵器の製造にあると主張しており、これを阻止するためさまざまな手段を講じています。一方、イランは、「核開発は平和利用を目的とする合法的なもので、アメリカが核問題で行っていることはダブルスタンダードだ」と指摘しています。アフマディネジャド大統領がモラレス大統領と会談した際、両国の指導者は、「『核拡散防止条約』の枠組み内で平和利用を目的とする世界各国の核開発の権利を支持する」と強調しました。また、ベネズエラのチャべス大統領も、「イランの人々は、平和利用を目的として核開発を行う権利がある。ベネズエラもそれを行う可能性を排除しない」と述べました。つまり、ボリビアとベネズエラ、両国の指導者はいずれも、核問題でイランを支持する立場を表明しました。
なお、今年初めから、アフマディネシャド大統領は、ラテンアメリカの反米意識の高まりを利用して、エクアドル、ニカラグア、ボリビアとベネズエラの4カ国を訪問しました。この4カ国はいずれも、アメリカと対立する左翼政権の国です。長年反米活動を行ってきたチャべス大統領とアフマディネジャド大統領は、深い友情を結んでいます。ボリビアのモラレス大統領が率いる社会主義運動党も一貫して、アメリカを困惑させています。それに加えて、アメリカと長年対立してきたニカラグアとキューバも、ボリビアやベネズエラと緊密な関係を保っていることから、アフマディネジャド大統領の今回の訪問の意味は、イランとボリビア、ベネズエラの2国との関係にとどまらないと見られています。
これに対し、アメリカ側も非常に関心を寄せています。特にボリビアとイランの国交樹立について、ボリビア駐在アメリカ大使は、「ボリビアと、世界のテロリズムの発信地となるイランとの関係発展を憂慮する」と強い不満を示しました。今回の訪問で、アフマディネジャド大統領は一定の成果を上げたと言えますが、今後の展開や影響については、引き続き注目していく必要があります。
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