アメリカ情報部門が3日国家情報評価報告書を発表しました。それによると、イランはすでに2003年から核兵器開発計画を停止していたということです。
報告書によると、「イランは4年前に核兵器開発プロジェクトを停止し、現在まで再開していない。また仮に、再開したとしても、原子爆弾を製造できるのは少なくとも2015年以後になる」としています。また、「2003年秋、テヘランが核兵器開発計画を停止した十分な根拠がある」と強調しました。当時、イギリスやフランス、ドイツの斡旋で、各方面は最終的に2項目の協定に調印したほか、イランはウラン濃縮活動を停止し、「追加議定書」にサインし、国際原子力機関の専門家により多くの核査察の権力を与えることに同意しました。こうした状況の下で、イランが核兵器の開発を続けることは困難でした。
この報告書は、アメリカで大きな反響を呼んでいます。まず、イラン脅威論を広く宣伝してきたブッシュ政権の信用を大いに損なったといえます。アメリカのマスコミは、「ブッシュ政権はここ数年、イラン脅威論を絶えず振りかざし、イラン政策において戦争という選択肢を排除しないできた」と指摘しました。ブッシュ大統領は、一ヶ月前に、第3次世界大戦を避けるにはイラン核兵器の保有を阻止しなければならないと述べました。このため、報告書はイランの核問題におけるアメリカ政府の信用を大いに損ねたと言えます。
大統領候補者に名乗りを上げているヒラリー・クリントン上院議員の国防問題の顧問は、「この報告書は、事実を歪曲して、イデオロギー目的を達成しようとするブッシュ政権の悪事を暴露した」としています。
また、世論は、「ブッシュ政権に対する大衆の信頼低下やイラン核脅威の減少に伴い、国連安保理でイランに圧力と制裁を加えようとするアメリカと西側諸国の情勢はより複雑になる」と見ています。
アメリカのマスコミは、「ロシアのプーチン大統領は数週間前に、イランが核兵器を開発している証拠がないと指摘した上で、アメリカのイラン核脅威論を批判した」としました。
現在、アメリカ情報部門の報告書はプーチン大統領の言葉に根拠を与えたと言えます。イランのモッタキ外相は4日、「国際社会はイランの核平和利用という目的をはっきりと認識してきた」と強調しました。
アメリカ国家安全保障担当のハドリー顧問は、「報告書はイラン制裁を推進しようとしてきたこれまでの情勢を複雑させると共に、イラン制裁に反対する口実を与えるだろう」と述べました。
報告書はアメリカのイラン政策に大きな影響を与えることになるでしょう。アメリカの新聞、「ニューヨークタイムズ」は論評を発表し、「かつて、これだけ徹底的に、また突然にワシントンの外交政策を変えようとする報告書は少ない。すくなくとも現段階では、ブッシュ大統領がイラン戦争を発動する理由はなかったといえる」としています。
しかし、ブッシュ大統領は4日の記者会見で、「報告書は自身のイラン核問題に対する見方を変えていない」と述べました。
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