EU・欧州連合のソラナ共通外交安全保障上級代表が11月30日、ロンドンで、イランの核問題交渉責任者で最高安全保障委員会のジャリリ事務局長と協議をしました。協議後、ソラナ代表は、「失望した」と述べました。関係者は、「今回の協議は不調に終わったから、イランは、より厳しい制裁を受けるだろう」と分析しています。
ソラナ代表とジャリリ事務局長は、この日、5時間以上協議しました。EUのある高官が明らかにしたところによりますと、ジャリリ事務局長は、長い時間をかけて、核問題についてのイランの立場を説明しました。協議に先立って、イラン側は、会談で新しい案を提出すると言っていましたが、具体的な話はなかったということです。
協議後、ソラナ代表とジャリリ事務局長は、それぞれ記者会見を行いました。協議の結果について、二人は、まったく逆のような考え方を示しました。ソラナ代表は、「多くを期待しただけに失望した」とした上で、「12月末までに、イラン側と電話で連絡を保ち、条件が備わった時、ジャリリ事務局長と引き続き交渉していく」と述べました。
一方、ジャリリ事務局長は、「会談は積極的なものだ。双方は、来月も交渉を続ける」と述べ、「核拡散防止条約の参加国として、イランは、みずからの義務を履行している。イランのウラン濃縮活動停止という要求は、受け入れられないものだ」と強調しました。ジャリリ事務局長は、さらに、「国連は、イランに対して、新しい制裁を行っても、イランの核開発活動を阻止できない」と述べました。
協議に先立って、イランのアハマディネジャド大統領は、イランの立場を改めて強調し、「イランは、すでに核を持つ国であり、いかなる形の脅威に屈しない」と述べました。また、モッタキ外相も、「どんな事情あれ、イランの核技術の獲得を阻止できない」と強調しました。関係者は、イラン指導部の発言は、イランにウラン濃縮活動の停止という要求を出すのがほとんど不可能だということを表していると見ています。しかし、これは、イラン核問題を解決するカギとなることでしょう。
計画によりますと、30日の協議後、ソラナ代表は、それに関する報告を国連に提出することになります。また、アメリカやフランス、イギリス、中国、ロシア五つの安保理常任理事国とドイツの代表は、12月2日に、パリで会談を行い、この報告書について討議し、イランを制裁するかどうか決めることになります。そのため、30日の協議は、イランが新しい制裁を避ける最後のチャンスと見られていました。しかし、イランの強い姿勢は崩れませんでした。
イギリス外務省の報道官は、「今月2日の6カ国会議で、イランへのより厳しい制裁を働きかける」との意向を示しました。
関係者は、「イギリス、アメリカ、フランスなどの国は、イラン制裁を国連に訴えるだろう」とした上で、「イラン核問題について、6カ国の意見は一致していないため、イラン制裁について話し合いが必要だろう」と述べました。
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