アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランス、ドイツの六ヶ国が12日午後、パリで行われた外相会議で、イラン核問題を改めて国連安全保障理事会に提出することを決めました。
フランスのドストブラジ外相は会議後、声明を発表し、「六ヶ国は安保理で決議を可決し、IAEA・国際原子力機関がイランに提出したウラン濃縮計画の中止要求に拘束力を与える。イランが決議の遵守を拒否すれば、六ヶ国は『国連憲章』の第7章41条に基づき、イランに経済制裁を加える。一方、イランがIAEAや安保理の関連規定を守って交渉を再開すれば、六ヶ国は安保理で新たな行動を行わない」としています。
声明によりますと、今回、パリ会議でイラン核問題を再び安保理に提出することを決定した理由は、6月の初め、六ヶ国の外相会議が出したイラン核問題の解決に関する一連の新しい提案に対し、イランが真剣に討議しようという如何なる意向をも示していないからだということです。
実は、今回のパリ会議が行われる前、アメリカとEUはすでにイラン核問題を改めて国連安保理に提出する決定を下しています。アメリカのライス国務長官は特別機でパリへ向かう途中、メディアに、「イランが六ヶ国の包括案に素早く正式に回答することを引き続き拒否すれば、アメリカはイラン核問題を改めて国連安保理に提出する」と語りました。また、国連のアナン事務総長は12日、六ヶ国の新しい解決案が交渉再開の基礎にできるかどうか、できるだけ早く立場を明らかにするようイラン側に促しました。
声明はまた、「六ヶ国がイラン核問題を再び安保理に提出する決定はやむを得えないものだ」としましたが、六ヶ国外相会議はやはりイランに交渉再開のチャンスを与えようとしています。
第一に、イランが六ヶ国の包括案に正式に回答する最終期限について、アメリカとEUの三ヵ国はもともと今月15日、G8サミット開催前と定めました。しかし、イランは8月22日前には回答しないと表明しました。イランのラニジャニ核問題交渉首席代表は11日ブリュッセルで、EUのソラナ外交・安全問題上級代表と会談した後「イラン核問題の解決は長い道のりで、各方面は忍耐が必要だ」と語りました。パリ外相会議に出席したアメリカの政府高官は、「イランが数日内に、六ヶ国包括案に対する回答をすれば、アメリカはイラン核問題を安保理に提出しない」と明らかにしました。
第二に、六ヶ国はイラン核問題を改めて安保理に提出し、安保理によってイランのウラン濃縮計画を制約する決議を可決するには、数週間かそれ以上の時間がかかりそうです。イランは六ヶ国包括案に対する最終回答を8月22日以降とすると表明したことに対し、外交関係者は、「イランは自らの作ったタイムテーブルに基づいて回答をするつもりだ。そうすれば、関連決議は安保理での可決を避けられ、経済制裁を防ぐことができるだろう」と見ています。
今回のパリ六ヶ国外相会議でイラン核問題を改めて国連安保理に提出するという決定は、イラン側に圧力をかけ、六ヶ国の包括案に早く回答することを促すことが目的であると見られています。また、この決定は、イラン核問題の外交ルートによる平和的解決という道筋が六ヶ国の共通認識であることを示しており、イラン核問題はさらなる展開を迎える可能性があります。
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