安保理常任理事国5カ国とドイツの外相は6月1日、ウィーンで会談し、EU・欧州連合が提出したイラン核問題解決に関する包括案について合意しました。すでに、アメリカは一定の条件の下でイランと直接交渉すると表明しており、今回の6カ国外相会談の結果は、各方面に注目されています。
イギリスのベケット外相は会談後の記者会見で声明を発表し「6カ国は重要な意義のある包括案を出した。その核心となるのは、イランがウラン濃縮活動を停止すれば、安保理はイラン核問題に関する討議を中止する。さもなくば、安保理は一連の措置を講じるということだ」と述べ、正しい道を選ぶようイランに促しました。しかし、ベケット外相は包括案の具体的内容については明らかにしませんでした。
各方面の情報から見れば、包括案の内容には、イランがウラン濃縮活動を停止すれば、各方面は一連の経済、技術協力を行うと共に、イランの安全を保障する。さらに、イランに軽水炉や核燃料を提供するということ。ただ仮にイランがウラン濃縮活動を放棄しなければ、安保理は『国連憲章』第七章41条によって、政府関係者へのビザ発給停止、国際会議からの締め出し、イランの海外資産の凍結、兵器、石油製品の輸出入禁止などの制裁を行うことが含まれているということです。包括案は「必要な時に、被制裁国に対して武力制裁を許可する」という国連憲章第七章42条に触れていません。これは、イランに対する武力行使の可能性は排除されていることを示します。
内外の圧力に迫られ、各方面、特にロシアと中国の支持を得るために、アメリカのライス国務長官は5月31日「イランがウラン濃縮及び核燃料の回収など核活動の停止を完全に証明すれば、アメリカはEUを代表するイギリス、フランス、ドイツと共にイラン核問題についてイランと交渉する」と述べました。また、同じ日、ブッシュ大統領は「外交手段を通じてイラン核問題を解決することは非常に重要である」と語りました。この点から見て、アメリカは、次のようなメッセージをイランに伝えたいと考えられます。それは、イランが核兵器を持つことは許されず、イランの核活動の停止は証明されなければならないということです。その条件下で、アメリカはイランと交渉するとしています。
アメリカのこの態度に対し、EU、ロシア、中国などの関係各方面は歓迎の意を表しました。世論は「これは、アメリカがイランと断交して26年以来、初めてイランの現政権を認容し、現在の国際情勢の下で、アメリカが多角的なルートを通じてイラン核問題を解決しなければならないと考えていることを示す。これはアメリカの対イラン政策における重大な変化である。アメリカとイラン、この二つの最も重要な当事国が直接交渉できれば、外交ルートを通じてイラン核問題を解決できる可能性は大きくなる」と見ています。
6カ国外相会談の前、イランのモッタキ外相は「イランは、明確、公正かつ差別のない枠組内で、共に関心を寄せている問題について各方面と会談する」と述べました。
専門家は「今回の安保理常任理事5カ国とドイツが、イラン核問題解決のために達成した包括案は、以前EUとロシアがそれぞれ提出した案と比べて、権威性を持つと共に、さらに信憑性があり、また魅力もある。イランがさらに慎重かつ真剣に対処することを信じている」としています。
|