IAEA・国際原子力機関は27日、核問題でイランとの合意点をまとめた文書を公表しました。
文書にはイランの核施設への査察に関する日程や関連情報の解明などが盛り込まれ、国際社会に対するイランの協力姿勢が示されたことになります。
この文書によりますと、IAEAはイランへの査察官を5人増派し、一方のイランは核兵器製造工場、重水炉、ウラン濃縮活動、核弾頭ミサイルなどに関するIAEAの疑問を解決するということです。
21日、IAEAとイランは核問題で未解決の疑問点をめぐって合意に達し、疑問解消のための計画と日程を設定しました。
イランは自国の長期利益を求めて核開発計画を維持している一方、国際社会の圧力を緩和させ、対応策を調整しています。
安保理は今年3月イランへの追加制裁決議を採択し、ウラン濃縮の停止およびIAEAとの協力をイランに要求しました。
IAEAは来月、理事会と総会を開き、イランの核問題を討議する予定です。この会議は追加制裁をめぐる安保理での論議に関わるものです。
これを前に、イランはIAEAに協力姿勢を示し、関連の日程などを設定して安保理決議の一部要求を満たすことで、外交斡旋の余地を作りました。
IAEAは査察強化と産業規模の濃縮放棄を前提に、研究開発目的の小規模濃縮を容認するとの姿勢を示しましたが、今回イランは協力姿勢を示して核開発の利益を擁護しました。
これまでイランの核問題でEUはアメリカより柔軟な姿勢をとっており、仲介役を務めています。
しかし、EU主要国の指導者は現在、アメリカと歩調を合わせるようになっています。
フランスのサルコジ大統領は今月アメリカで2週間の休暇を過ごした際、ブッシュ大統領と会談を行い、イラン核問題でアメリカと連携することを確認しました。
帰国したサルコジ大統領は「イランの核問題は国際社会にとって最大の危機だ」と述べました。
アメリカの国内メディアは「ブッシュ政権がイランの精鋭部隊である革命防衛隊をテロ組織に指定する方針を決めた」と報道しました。
これはイランへの武力行使の前兆だと見られています。
さらに、朝鮮半島の核問題をめぐる6カ国協議が順調に進展しているため、国際社会からイランへの圧力が強まっています。
こうした情勢の下、イランがこれまでの強硬な姿勢をとり続けるならば、国際社会から一層孤立してしまうと見られています。
時事解説、今日は核問題の未解決疑問点をめぐり、国際原子力機関がイランとの合意文書を公表したことについてお話しました。(ジョウ)
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