IAEA・国際原子力機関理事会は24日、賛成22票、棄権12票、反対1票でイギリス、フランス、ドイツ3カ国が提出したイランに対する決議案を採択しました。
決議案は「イランがNPT・核拡散防止条約の義務を履行せず、NPT保障措置協定の不履行と違反を繰り返している。IAEA憲章の第12条はNPT条約とその保障措置協定を履行しない加盟国の活動を安保理と国連総会に報告するとしている。イランは長年核関連活動を申告せず、IAEAによる核査察で問題が発見された」としました。
イギリス、フランス、ドイツ3カ国は20日、イランに対する決議草案をIAEA理事会で配布し、核問題を安保理と国連総会に報告するようイランに要求しました。
この決議案に対し、アメリカ、日本、オーストラリア、カナダなどの加盟国は支持を表明しましたが、ロシア、中国、非同盟諸国は反対を示しました。
イギリス、フランス、ドイツ3カ国は決議草案を修正しましたが、この修正案は依然広汎な支持を得なかったため、IAEA理事会での全会一致の採択が不可能となりました。
EUとアメリカは「イランのウラン濃縮計画を核兵器開発の一環であり、核燃料の自力生産能力を獲得すれば、何時でもNPT条約からの離脱が可能となり、核兵器の製造に必要な高濃縮ウランを迅速に生産できる。イランは18年間にわたる核関連活動をIAEAに申告せず、国際社会への約束に背いてきている。イランにとって核兵器の開発を放棄する唯一の客観的保障はウラン濃縮計画の完全放棄である」と見ています。
イランの核問題をめぐり、EUは一連の解決案を提出しましたが、いずれも拒否されており、イランはウラン転換活動の継続を固持しています。
IAEA理事会に対し、イラン外務省は「決議案は不法なもので、絶対に受け入れられない」と反発しました。
非同盟諸国は「決議案はイラン核問題の建設的解決に完全な基盤を提供せず、また、NPT締約国の核平和利用の権利を如何にして保障するかという問題が出ている」としました。
|