IAEA・国際原子力機関の理事会会議は8日、イラン核問題をめぐる討議を終え、エルバラダイ事務局長の報告を国連安保理に提出することにしています。こうして、イラン核問題は外交ルートによって解決するという新しい段階に入りましたが、イラン核問題は今後どのように進展していくのかは、より多くの注目を浴びています。
イラン駐在の華黎明元中国大使は記者のインタビューに応え「今回会議は6日から8日にかけて開催された。IAEA理事会のメンバーはイラン核問題で一致に達することはできなかったので、エルバラダイ事務局長はその報告を国連安保理に提出し、安保理がこの問題を討議するのか、あるいはいつ討議するのかを決めることを安保理に託すことにした。つまり、イラン核問題を処理する機関はすでにIAEAから国連安保理に移ったのである」と語りました。
中国外務省の秦剛報道官は9日、北京で開かれた記者会見で「今の情勢の下では、イラン核問題を解決する空間はまだある。各国は冷静を保ち、交渉によるイラン核問題の解決に尽力し、情勢の深刻化を避けるべきだ」という中国の立場を改めて強調しました。
ロシアのラブロフ外相は8日、アナン事務局長と会談したあと記者団に「軍事的手段ではイラン核問題を解決できない。イギリスとドイツも同じ様な見解をもつと思う。制裁は問題解決や目的達成の手段ではない」と表明しました。
しかし、アメリカとEU・欧州連合は「安保理はイラン問題の処理に直ちに着手し、イランに圧力を加えるべきだ」と主張しているのです。
アメリカの政治事務担当のバーンズ国務次官は「国連安保理がイランを非難する声明を出す可能性は高い。それだけではなく、国連憲章の関連規定に基づき、イランを孤立させ、イランに圧力を与える可能性がある。もしイランが関連決議を無視すれば、国際社会はイランへの制裁を考慮すべきだ」と述べました。
一方、イランはこれまで核の平和利用の権利を放棄していません。イランのネジャド大統領は今度のIAEA理事会会議が行われる前に「今回会議はIAEAに対するチェックでもある。つまり、IAEAがその規定をしっかり守っているかどうか、また人権を真に支持しているかどうかをチェックする会議でもあった。イラン政府もIAEA理事会の規約と枠組み内で行動していく」と述べています。
華黎明元大使は「欧米諸国はイランに対する外交的圧力を強化しようとしている。具体的にはイラン問題の解決をIAEAから国連安保理に付託することだ。この圧力は徐々に強化されていくようだ」と分析しています。
アナン事務局長は7日のテレビ番組で「イランはアメリカが核拡散防止問題で二重の基準をとっていることを指摘するかもしれない」と話しましたが、これについて華黎明元大使は「アメリカのこのやり方によって《核拡散防止条約》の実施には二重の基準ができてしまった。これは国際的な核拡散防止の活動に連鎖反応をもたらし、深刻な結果を残すに違いない」と指摘しています。
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