日本の安倍晋三首相が27日、内閣改造を行いました。
当日夜の記者会見で安倍首相は「内閣改造により政権の求心力を回復したい」と述べました。
与謝野馨(よさの・かおり)官房長官は「内閣支持率をあげるマジックはない。地道にしっかり政策を実行していくことしかない」と述べました。
先月の参議院選挙で与党の自民党が大敗しました。
安倍首相が就任して以来、身内を重用しすぎると指摘され、閣僚による不祥事や失言も続き、内閣への支持率は低下しました。
しかし、それでも安倍首相は衆議院を解散し、国民の信を問うことなく、政権を継続したことから、支持率の急落を招きました。
今回の内閣改造では自民党各派のベテランが重要ポストに配置され、留任は5人、民間からの登用は2人にとどまっています。
日本メディアによりますと、内閣改造にあたって閣僚候補に対する身辺調査を行ったということです。
安倍首相は「改造内閣は人心一新である」と述べました。
これに対し、共産党の市田忠義(いちだ・ただよし)書記局長は「一新されるべき張本人がそのまま居座って、党役員、閣僚が一新されるわけがない」と批判しています。
社民党の福島瑞穂(ふくしま・みずほ)党首は「昔の自民党に戻った内閣なので、支持率が大幅に上がるとは考えられない」と指摘しました。
国民新党の亀井久興(かめい・ひさおき)幹事長は「安倍内閣の政策の方向が変わるとは受け止められず、人心一新や清新さも感じられない」と語りました。
日本メディアによりますと、安倍内閣にとって11月に期限切れとなり、アメリカが大きな懸念を示している「テロ対策特別措置法」の再延長は大きな課題となっています。
参議院で過半数を占めている野党が「テロ対策特別措置法」の再延長を拒否すれば、日米同盟の重要性を強調している安倍政権にとって大きな打撃となります。
最大野党民主党の鳩山由紀夫(はとやま・ゆきお)幹事長は27日夜、「テロ対策特別措置法」の再延長に反対する意向を改めて強調した上、「秋の臨時国会で自民党と全面対決する」と明言しました。
また、支持率の急落と参議院選挙惨敗につながった年金記録紛失問題の解決も安倍首相の改造内閣にとって難しい課題です。
さらに、参議院議長も民主党から選出され、自民党の議会運営にとってはマイナスとなっています。
安倍首相の内閣改造に対し、日本の経済界は構造改革路線の一層の加速を期待しています。
日本経済団体連合会の御手洗富士夫(みたらい・ふじお)会長は「外交・内政の政策そのものは間違っていない。この政策は貫き通してほしいので続投には賛成だ」との考えを示しました。
日本商工会議所の山口信夫(やまぐち・のぶお)会頭は、地域間格差の解消など中小企業の諸問題解決に取組むよう改造内閣に期待を寄せています。
ただ、日本のメディアの調査で、安倍内閣への不支持率が記録的な64.8%となり、参議院選挙でも少数与党となっている状況から、改造内閣の信頼回復への道のりはまだ遠いとの見方が大勢です。(ジョウ)
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