アメリカのブッシュ大統領は16日、ホワイトハウスで声明を発表しました。ブッシュ大統領はイスラエル、パレスチナ自治政府、及び一部の周辺諸国が参加する国際会議を開催し、中東和平プロセスを再開することを呼びかけています。これに対し、17日、パレスチナとイスラエルは歓迎の意を示しました。しかし、専門家によりますと、ブッシュ大統領の提案内容はあまりにも現実性がなく、パレスチナのイスラム原理主義組織・ハマスやイラン、シリアなどが排除されていることから、この会議が実質的な成果を挙げるのは難しいとしています。今日の時事解説はこれについてお話しましょう。
ブッシュ大統領は16日の声明で「今年の秋に中東和平国際会議を開催する予定で、イスラエル、パレスチナ及び両国の平和共存とイスラエルの独立を認める周辺のアラブ諸国が参加する。議長はライス国務長官だ」と語りました。また、パレスチナ自治政府に1億9000万ドルの援助を実施する方針も表明しました。
パレスチナとイスラエルはいずれもブッシュ大統領の声明に歓迎の意を示しました。また、イスラエルのオルメルト首相はブッシュ大統領の提案を高く評価しています。報道官によると、「ブッシュ大統領の提案内容は、パレスチナとイスラエルの指導者が近いうちに首脳会談を開催するため、平和的な雰囲気を作り出してくれるだろう。また、アッバス議長を始めとするパレスチナ穏健派の力を強め、パレスチナとイスラエル和平会談の進展を進めるだろう」と述べました。パレスチナの高官も「ブッシュ大統領の提案はパレスチナとイスラエルの和平会談に新しいドアを開く」と評価しました。
一方、多くの政府高官やマスコミはブッシュ大統領の提案が実質的な成果を挙げることができるかどうか疑問を抱いています。
まず、ブッシュ大統領の提案では、この会議に参加するのはパレスチナとイスラエルのほかはヨルダン、エジプト、サウジアラビアなどアメリカの同盟国です。パレスチナの重要な組織・ハマスは招かれていません。この外、イランやシリアなど中東和平プロセスの関連国も会議に参加することができません。専門家は「和平交渉は衝突している双方が行うもので、各関係側の代表が参加する必要がある。しかし、アメリカが主催するこの国際会議はハマス、イラン、シリアなどアメリカとイスラエルにとって敵とされる組織や国を排除している。これらの勢力が参加しなけば、会議は実質的な成果を挙げることが難しい」としました。
また、今、アッバス議長が率いるパレスチナ解放機構・ファタハはヨルダン川西岸を統治していますが、ガザ地区がハマスの支配下に置かれています。ハマスの武装を武力で解除することはあまりにも現実性がありません。一方、目下、イスラエルのオルメルト首相の政権は非常に脆弱で、イスラエル政府が実質的な措置を講じることもできません。これらのことから、ブッシュ大統領の提案は架空の事物に過ぎないと見られています。
|