イスラエルのオルメルト首相とパレスチナ自治政府のアッバス議長は23日、エルサレムで会談を行いました。これは、パレスチナとイスラエルの指導者の間で、ここ2年来に行われた初めての会談です。双方は、イスラエルがパレスチナに税金の代理徴収分を引き渡すことで一致に達しましたが、捕虜交換の問題では進展を遂げませんでした。
オルメルト首相とアッバス議長との会談は、この日の夜、イスラエルの首相官邸で行われました。関係者によりますと、会談は友好的な雰囲気の中で行われました。イスラエルとパレスチナの国旗が会場に飾られ、会談は2時間行われたということです。
双方が今回の会談をプライベートな会談と見ていることから、オルメルト首相とアッバス議長は会談後、記者会見を開きませんでした。ところで、今回の会談について、パレスチナのエレカート交渉首席代表は「オルメルト首相は、アッバス議長に1億ドルの税金代理徴収分を引き渡すことに同意した」と述べました。パレスチナのイスラム原理主義組織・ハマスが執政して以来、イスラエルはおよそ5億ドルの税金代理徴収分を凍結しました。これに加え、国際社会の経済制裁がパレスチナの財政危機を激しくしていました。
安全の面では、パレスチナ人の通行に便宜を図るため、オルメルト首相はヨルダン川西岸の一部のイスラエル検問所を撤去することに同意しました。また、ガザ地区の人道主義危機を緩和するために、毎日400台のトラックの物資がイスラエルのカーニの税関を通ってガザ地区に出入りすることができることに同意しました。なお、イスラエルは、エジプトがアッバス議長の治安部隊に兵器を提供することに同意すると共に、ヨルダンにあるパレスチナのバドル旅団がガザ地区に駐留することを許しました。
しかし、双方は捕虜交換の問題で進展を見せませんでした。パレスチナは、イスラエルが拘束した数百人を釈放することを希望していますが、オルメルト首相は、パレスチナが先にパレスチナ武装勢力に拘束されているイスラエル軍兵士を釈放することを要求しました。双方は共同委員会を設立し、引き続き捕虜交換問題について交渉することには合意しました。
今回の会談に対して、パレスチナとイスラエルの各派の反応は異なっています。ハマスの指導者は、「今回の会談はパレスチナにプラスにならない」と非難しました。イスラエルの左翼政党であるメレツのベイリン主席は今回の会談に歓迎の意を表し、会談が双方の平和交渉に基礎を築くことを希望しています。右翼政党のシャスの指導者であるイシャイ氏は会談を通じて、イスラエル軍兵士が一日も早く釈放されることを希望しています。
専門家は「今回の会談は、パレスチナとイスラエル双方の指導者にプラスとなる。イスラエル国民が政府のレバノンとイスラエルとの衝突における行動に不満を表している。オルメルト首相は巨大な圧力に直面していて、平和協議を通じて支持率を向上させる必要がある。イスラエルがパレスチナ人を釈放し、一部分の税金代理徴収分を引き渡すことによって、アッバス議長をはじめとするパレスチナの穏健派は強化されることができる」と述べました。
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