パレスチナ自治政府のアッバス議長は21日、「イスラエル首相との公式会合の年末までの実現を期待している」と述べました。
これに先立って、イスラエルのオルメルト首相は「アッバス議長との会合を拒否する理由はない」と明言しています。
ラマラでの記者会見でアッバス議長は「オルメルト首相との会合を期待しており、会合の準備作業も進んでいる」と述べました。
これに対しオルメルト首相は会談したい意向を示した上で、準備作業実施のため側近を派遣しました。
これについてイスラエル政府は「友好的姿勢を示すため、パレスチナへの税金を引き渡す。自治政府職員の給料支払いを保障するため、数億ドルにのぼる税金をパレスチナ側に送る」と発表しました。
ところで、オルメルト氏は、今年1月の首相就任以来、ガザ地区とレバノン南部への進攻を発動しました。
ガザ地区ではパレスチナ武装勢力に対する2回もの軍事攻撃を実施しましたが、拉致されたイスラエル軍兵士は未だ解放されておらず、パレスチナ武装勢力によるロケット弾攻撃も継続しています。
また、レバノン南部を拠点とするヒズボラへの進攻は1カ月以上継続しましたが、予期された結果を得ずにイスラエル軍は撤収されたのです。
そしてイスラエル軍はこのほど「ヒズボラは、いまイスラエル軍による進攻前の規模に復帰した」と発表しました。
これについてイスラエルの世論は「オルメルト政権の軍事攻撃はいずれも失敗した。大多数の国民は平和を期待している」としています。
一方、パレスチナではアッバス議長の支持母体ファタハとハニヤ首相が率いるハマスとの連立政府の樹立をめぐる協議が失敗に終わり、アッバス議長は議長と評議会選挙の前倒しを宣言しました。
アッバス議長とファタハは政権奪還を目指して、外交手段によるパレスチナ問題の解決を強調してます。
ですからオルメルト首相との会談で、アッバス議長は千人以上にのぼるパレスチナ人拘束者の解放とおよそ5億ドルにのぼる税金の引渡しをイスラエルに求める予定です。
さて、アッバス議長とオルメルト首相は今年6月にヨルダンで非公式会合を行なっており、その後、イスラエルがガザ地区とレバノン南部に対する軍事攻撃を実施したため、公式会談は延期されました。
そして先月末に、パレスチナとイスラエルはガザ地区での停戦を実現しましたが、パレスチナ自治政府は「イスラエル首相との会談は、アメリカのライス国務長官の来年1月始めの中東訪問前に行われるよう希望する」と発表しました。
しかし、パレスチナ武装勢力によるイスラエルへのロケット弾攻撃は継続されており。イスラエル国防相はこれを受けて「停戦合意の枠内で反撃にでる」と軍に命令しています。
これについて世論は「継続している武力衝突は、パレスチナ・イスラエル双方の会談にマイナス的影響を与えるだろう」と懸念しているのです。
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