イスラエルのオルメルト首相は26日、アラブ諸国が参加する中東和平サミットに参加したい旨を表明しました。また、オルメルト首相はパレスチナ自治政府のアッバス議長との対話による和平協議を展開することに同意しました。それと同時に、サウジアラビアのファイサル外相は26日、「アラブ諸国は、2002年に提出した"和平提案"の一部の内容を改正することを考えている」と明らかにしました。このことの進展は、中東和平プロセスでの積極的な兆しと捉えられています。
パレスチナ原理主義組織・ハマスとパレスチナ解放機構・ファタハは先週、連合政府を設立した後、新政府は、イスラエルを承認すること、暴力を放棄すること、パレスチナとイスラエルがすでに調印した条約を受け入れることという三つの条件を満たさないため、イスラエルは引き続き新政府に抵抗していくと述べました。オルメルト首相は「アッバス議長との和平会談は行わない。イスラエルとアッバス議長との接触は、ただ安全と人道主義の問題に限られている」と強調しました。ところが、現在、アメリカのライス国務長官の斡旋により、オルメルト首相はその立場を変え、アッバス議長との会談を再開することに同意しました。これは積極的な進展です。また、オルメルト首相はアラブ諸国が出席する中東和平サミットに参加したい旨を表明しました。国連、EU、アメリカ、ロシアからなる中東問題の関係各側のほか、エジプト、ヨルダン、サウジアラビアなどアメリカの同盟国もサミットに参加するとのことです。イスラエルとパレスチナの指導者もサミットに招かれます。オルメルト首相は「もしアラブ国家が要請を出してくれば、直ちにこのサミットに参加する」と述べました。
このほか、イスラエルとアラブ諸国は和平提案に積極的な反応を示しています。アラブ諸国連盟の首脳会議が今月末、サウジアラビアの首都・リヤドで開催されます。その際、会議の一つの主要な議題は、アラブ諸国の和平提案を再起動させることです。この提案は、2002年にアラブ諸国によって採択されました。その主な内容は、「アラブ諸国とイスラエルは全面的な平和を実現させる。その条件として、イスラエルは1967年に占領したパレスチナの領土から撤退しなければならず、またパレスチナはヨルダン川西岸、ガザ地区と東エルサレムで建国する。同時に公正にパレスチナの難民問題を解決する」としています。
この提案に対して、特にパレスチナ難民に関する内容について、これまでイスラエルは拒否していました。しかし、このほどオルメルト首相は「この提案は、和平協議の基礎になるかもしれない。アラブ諸国はまもなく行われる首脳会議で提案の中の積極的な要素を強調することを希望する」と述べました。
これに対して、アラブ諸国の立場もすこし変化しました。アラブ諸国は改めて提案をやり直し、イスラエルに基本的な部分については同意を求める予定です。それから、協議の過程で、アラブ諸国とパレスチナはある程度の譲歩をします。
専門家は、「パレスチナとイスラエルの矛盾が複雑化しているものの、ここ数日行われている両者の衝突をめぐるハイレベルな外交活動は、和平プロセスに新しい活力を注ぐ可能性がある」と見ています。
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