二日間の厳しい交渉を経て、ブリュッセルで開かれていたEU・欧州連合サミットに出席した27の加盟国の指導者は、現地時間の23日朝、EU憲法制定プロセスの再開を図る「ロードマップ」を採択しました。これで、EUは2年間にわたる憲法制定危機を乗り越えました。
「ロードマップ」の目的は、「EU憲法条約」を代替できる新しい憲法の役割を果たす条約を制定することにあります。一部加盟国の新しい憲法の内容に関する争いを沈静化するため、輪番議長国のドイツは、今回のサミットで、制定した当初の計画に対して改めて修正を加えました。これにより、今後の新しい条約は「EU憲法条約」という名称を止め、「改革条約」という名称を使うことになっています。この新条約によりますと、EU最高権力機構である欧州理事会を、現在の加盟国サミットシステムから固定機構にすると共に、常任議長のポストを設置すること、現在の外交安全保障上級代表と対外関係委員会を統合して、「EU高級代表」という統括ポストを設置し、EU委員会副議長を兼任すること、「EUは超国家機構」だと一部加盟国が懸念するEUの旗、歌などのシンボルを取り消すことなどが含まれています。
EU理事会の採決システムへの改革をいかに行うかということは、今回のサミットの焦点の一つになっています。各関係国は、最終的に、2014年までに、新しい「二重多数決方式」というシステムを採用しないことに合意し、2014年からこのシステムを導入し、3年の過渡期を容認するとしています。
「ロードマップ」によりますと、EUは、関連法律が整備されてから、7月末までの間に、「改革条約」制定のために新たな政府間交渉を行い、今年下半期に輪番議長国のポルトガルが条約の草案を作成し交渉各側に提出すること、また、2009年6月欧州議会選挙が行われる前に、政府間交渉を終了させることを目指しています。
拡大後の機能が有効に発揮できることを保障するため、2004年5月にEUに加盟した中部と東部のヨーロッパ10カ国は、憲法制定プロセスを始めました。2006年11月1日に正式に発効すべきでしたが、フランスやオランダで国民投票で否決されたことから、憲法制定のプロセスは暗礁に乗り上げました。今年の初め、輪番議長国のドイツは、2年間も停滞したこのプロセス再開を急務とし、各加盟国と交渉してきたものです。
欧州委員会のバローゾ議長は、サミットの閉幕後の記者会見で、「新しい条約の制定に合意したことは、EUが正しい方向に向かって前進していることを表している。これは、EUの行動力をより強化し、EUの人々に、加盟国の一致団結ぶりをアピールした」と強調しました。ドイツのメルケル首相は、「ロードマップ」の採択は、27の加盟国を新たに結束させたと評価した上、「この新しい条約に対して、国民投票を行う必要があるかどうかは、各自で決める」と指摘しました。
憲法制定プロセスの再開について、ヨーロッパの世論は、これはヨーロッパの一体化を引き続き推進していく重要な保障だとしています。(翻訳 朱丹陽)
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