EU・欧州連合とアメリカの首脳会議が30日、ワシントンで開催されます。議長国・ドイツのメルケル首相と欧州委員会のバローゾ委員長を始めとするEU代表団はアメリカのブッシュ大統領と会談を行うことになっています。会談では貿易、ロシア、エネルギーなどの問題について討議し、相互協力を強調することになっていますが、地球温暖化、パレスチナ・イスラエル問題、テロ対策などの問題では双方の溝は埋まらないものと見られています。

　今回の首脳会議では貿易協力が主要な議題になると見られています。ドイツのメルケル首相と欧州委員会のバローゾ委員長を始めとするEU代表団は、大西洋地域の商業の発展を進め、官僚主義的な貿易障壁を取り除くことを目指す計画を会議に提出することになります。メルケル首相によって提出されるこの計画はアメリカとヨーロッパの商業・貿易分野での法律規定の溝を埋めるもので、その内、自動車の安全基準や企業合併などの内容が含まれています。

　この計画が採択されれば、アメリカとヨーロッパとの貿易の拡大やコスト削減に大きな影響を及ぼすことができます。この計画に基づき、双方は大西洋自由貿易地域の構築に力を入れ、すべての関税を取り除き、更に、この二つの世界最大規模の経済体の間で貿易障壁を取り除くことを実現します。

　今、WTO・世界貿易機関のドーハラウンド・新多角的貿易交渉では、各国が自国の利益を守るため、対立しています。とりわけ、農業補助金問題に関してはアメリカとヨーロッパの溝が依然として埋まりません。メルケル首相の計画はこれらの問題を避けており、双方が受け入れられるものと見られています。

　アメリカのマスコミはロシアに関する問題が今回のEU・アメリカ首脳間会議の焦点になると予測しています。これより前に、アメリカがポーランドとチェコに弾道ミサイルを配備する計画を示しました。これによって引き起こされたアメリカとロシアの対立に対し、ドイツ政府が示した立場から見れば、EUとアメリカがこのことで合意に達するのは困難ではありません。

　また、今回の首脳会議はコソボ問題にも触れることになります。先月、アハティサーリ・コソボ問題担当国連特使が国連に報告を提出しました。この報告はセルビアから、コソボの最終的な独立をもたらすと非難されましたが、アメリカとEUはこれを支持しています。しかし、ロシアはこれに断固反対し、拒否権の行使をちらつかせています。この問題を如何に解決するかが今回の首脳会議の注目の的となっています。

　また、エネルギーの安全保障問題も今回の首脳会議の焦点の一つです。ロシアは天然ガス市場での絶対的優位を利用して、ヨーロッパのエネルギー供給をコントロールし、アメリカとヨーロッパの注意を集めています。エネルギーの安全保障問題も今回の首脳会議の重要な議題となると見られています。