イランの核交渉をつとめるラリジャニ最高安全保障委員会事務局長は25日、EUのソラナ共通外交・安全保障上級代表と会談します。これは国連がイラン制裁の決議草案第二案を採択して以来、イランとEUのはじめての交渉であることから、注目を集めています。時事解説、今日は、これについてお伝えします。
国連安保理はこれより先、ウラン濃縮活動を中止するようイランに繰り返し要求し、期限内に停止しないと、より厳しい制裁措置を取るとしていました。25日、ラリジャニ氏とソラナ氏との会談は、国連安保理が提出した60日間の期限の30日目にあたります。今回の交渉は実質的な進展を遂げることが期待されています。
これまで、イランとEUの矛盾の中心は、EUがイランのウラン濃縮活動の中止を交渉の前提としているのに対して、イランが核の平和利用開発がイラン人民の権利だと主張し、EUの要求を拒否したということです。ソラナ代表は23日、ルクセンブルクで行われたEUの外相会合で、「25日の会談でウラン濃縮活動の中止にふれず、EUとイランが核の民間利用についての案を提出する」と述べました。
イランもEUとの交渉のため、準備を進めてきました。今月9日、イランは、すでにナタンツの核研究施設に5万台のウラン濃縮用の遠心分離機を据えつける計画を立てたことを明らかにしました。 イラン外務省の報道官は22日の定例記者会見で、「イラン核問題をめぐる交渉は、イランがすでに核燃料の工業生産力を備えていることを盛り込むべきだ」と述べました。
ラリジャニ事務局長は23日、「新しい現状に合わせ新しい解決方法をさぐるべきだ。双方が、慎み深い態度で25日の会談に臨めば、EUはイラン核問題の解決に満足できる方法を見出せるだろう」と語りました。専門家は、「ラリジャニ事務局長が語った『慎み深い態度』とは、EUが、イランが核開発で上げた成果を認め、核の平和利用開発の道から外れていないことを認めることだ」とみています。
さて、イランのアハマディネジャド大統領は23日、スペインのテレビ局のインタビューに答えた際、「引き続き『核不拡散条約』を遵守するが、国連の制裁には抵抗をする。交渉はイラン核問題の解決に最もよい方法ではあるが、イラン核問題は完全に政治問題化されてしまった。イランは『核不拡散条約』を脱退しないが、自国の権利は守っていく」として、イランに対しては、アメリカと違う立場を取るようEUに求めました。
EUとイランは、いずれも25日の会談を通して、問題解決に向けた新しい方法を見出すことを願っています。ソラナ代表は23日のEUの外相会合でイランとの会談において、ウラン濃縮活動の中止にはふれないとした一方で、「国連安保理より更に厳しい制裁措置を取るだろう」と語りました。こういう状況の下では、25日の交渉はどうなるのか予測がつきません。 (翻訳:藍)
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