イラン最高安全保障委員会のバイディ事務局次長と、EU・欧州連合のソラナ共通外交・安全保障上級代表は11日、イラン核問題について会談を行います。これは、マドリードでの協議以来、イランとEUがここ2週間以内に行う2回目のハイレベル協議となります。
今回の協議について世論は、協議の前に、関係各国が立場を緩める兆しはないと見ています。国連のある高官の話によれば、イランはすでに、その核施設でウラン濃縮のための遠心分離機を2000基設置しており、来月中にはさらに1000基追加して3000基までに増やすということです。もし、これが真実だとすれば、イランは、工業化のための核燃料生産能力をもち、理論的には一年以内に、1個の原子爆弾を作るのに必要な高濃縮ウランを生産することができます。
イランは、自らの核開発を「平和利用である」と主張してきましたが、アメリカとその同盟国は、核兵器の開発を隠すための口実だと見ています。そして、イランに対して経済制裁を含む強硬な制裁措置を実施することを国連安全保障理事会に求めています。
ドイツで開かれていたG8・先進8カ国首脳会議では8日、イラン核問題について、「イランが譲歩しなければ、G8はより強硬な措置を実施する」との声明を発表しました。同時に、「もし、イランがその核開発が平和目的であることを国際社会に示すことができれば、G8は原子力利用を含む各分野でイランと協力し、イランとの関係に新たなページを開くことができる」としています。
これに対し、イラン外務省のホセイニ報道官は9日、G8の声明に遺憾の意を示しました。ホセイニ報道官は、「現在まで、イランは、IAEA・国際原子力機関を含む関係各国や組織と緊密な協力関係を保っており、『核拡散防止条約』を遵守して核技術の平和利用を堅持してきた」と述べました。また、「イランはこれまでと同じく、国際社会が持つ疑問について、外交ルートを通じて解消していく。イランは、前提条件を設けないあらゆる会談に参加する用意がある」と語りました。
イランの前大統領で最高評議会のラフサンジャニ議長も9日、G8の声明に反対すると表明しました。ラフサンジャニ議長は、「これらの工業国家が集まって、イランに対して核開発の放棄を要求するのは初めてではない。しかしイランは、十分な理性と警戒心を持っており、この困難な時期を乗り越えることができる」と述べました。
ところで、国際原子力機関理事会は11日、定例会議を開き、急速に進むイランのウラン濃縮活動への対応や、イランとIAEAとの協力が弱まっていることなどについて話し合います。この会議では、イランへの批判や非難の声が強まることが予想されます。
イラン核問題についてのアメリカとイランとの対立は、言葉だけにとどまっていません。アメリカ海軍は5月23日、空母2隻を含む戦艦9隻をペルシャ湾に派遣し、2003年のイラク戦争以来、最大規模の軍事演習を行いました。これに対し、イランの政府高官は6月10日、現在、アメリカが中東地域で設置している軍事基地は、すべてイランのミサイルの射程以内にあると警告しました。
こうした情勢を受けて世論は、イランとEUが再び協議をすることから、双方は交渉を通じて食い違いをなくす努力を放棄していないと見られるものの、問題の解決までには、関係各国にとって十分な誠意や忍耐が必要だと見ています。(翻訳:鵬)
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