パレスチナ非常事態内閣は17日昼頃、ヨルダン川西岸のラマラでパレスチナ自治政府のアッバス議長に内閣の発足を宣誓し、14日夜に解散したパレスチナ自治政府と交替しました。この日、アッバス議長はパレスチナのイスラム原理主義組織ハマス傘下の軍事部門を非合法化する議長令を出しました。これは、ハマスを排除するアッバス議長の意向を反映したものだと見られています。
16日アッバス議長が議長令を出したのは、非常事態内閣のファイヤド新首相が内閣を組織する上で、ハマスが多数議席を占めるパレスチナ評議会をしりぞけるためだと見られています。そして、17日に発足した非常事態内閣は非常事態法など関連法律に基づいて、ヨルダン川西岸地区やガザ地区に対し、全面的に管轄を行なうことが出来るようになります。これはアッバス議長が全国の非常事態を掌握する上で柔軟性を与え、ハマスに対して、より大きな主導権を握らせることになります。
非常事態内閣発足後、これまでハマスの主導する自治政府に対して、制裁を行なってきた西側諸国と国際機関も、パレスチナ新政府に直接の援助を与えることになるものと見られています。また、これは今後、新政府の推し進める措置がこれらの国々と国際機関から道義上の支援を得るだけではなく、資金や物資などの支援を得ることも出来るものと見られています。
アッバス議長はハマスの軍事部門を非合法化すると発表しましたが、これはハマスに対して、もう一つの重い打撃となります。アッバス議長はその議長令で、「ハマスの軍事部門及びその武装勢力はガザ地区で軍事クーデターを行い、パレスチナの法律と制度に違反している。非常事態法の規定に基づいて、そのメンバーを処罰する」と述べています。これは、アッバス議長がハマスの軍事クーデターを糾弾し、パレスチナの武装支配権よって起こったハマスとファタハのたえまない衝突、及びパレスチナの分裂をもたらした根本的な問題を徹底的に解決しようとしているものと見られています。
闘争の戦略として、非常事態内閣発足後、アッバス議長はハマスとの対話を拒否し、国際社会からの支援を積極的に求め、ハマスを譲歩させるため、ガザ地区に対する封鎖と圧力の強化を関係国に求めていくものと見られています。この方針はイスラエルとエジプトの理解を得ました。アッバス議長は先週の末、ハマスの政治局責任者から求められた会談を拒否しました。ハマスがその部隊を解散し、パレスチナ治安部隊をガザ地区に戻らせない限り、対話することは出来ないと言うことです。
パレスチナの二つの派閥の政治闘争で、アッバス議長の指導するファタハは優位に立ち、特に非常事態内閣は国際社会の支持を受けました。しかし、武装勢力の支配権に関して、ハマスがガザ地区でその武装勢力の戦略地位を確立したばかりであるため、武装勢力の解散やそのメンバーに対する処罰について容易に譲歩することはなく、双方の争いはさらに激しくなるものと見られています。(翻訳:董燕華)
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