パレスチナのイスラム原理主義組織・ハマスの指導者、メシャール氏がハイレベルの代表団を率いて、17日トルコのアンカラ訪問を始めています。これは、ハマスが先月の評議会選挙で勝って以来、アラブ以外の国に対する初めての訪問です。また、ロシア政府が明らかにしたところ、ハマスの指導者は3月始め、要請に応じてロシアを訪問するということです。一連の外交活動は、ハマスが外交上の孤立的立場から脱出しようとすることを表しています。
ハマスは先月の選挙で勝利して以来、イスラエルとアメリカは、ハマスを排斥するよう、国際的働きかけをしています。中東問題に関連する四者、アメリカ、ロシア、国連、EUは先月それぞれ声明を発表し、ハマスに対し武力の放棄、イスラエルの承認、これまでの協定の引き受けを要求しました。
しかし、ハマスがまもなく政権を手にすることや、柔軟性のある立場を最近示していること、それに、比較的に穏健な一連の政策を出したことにより、関係者は異なった戦略的利益から、ハマスに対する政策について次第に亀裂が見られてきました。
ロシアのプーチン大統領は9日、ハマスのロシア訪問を要請する予定を明らかにしました。これを受け、フランスは、ロシアとハマスの接触は「フランスの主張」に合致していると表明しました。国連のアナン事務総長もこれに歓迎の意を示しています。今回、ハマスはトルコ訪問に出かけました。
こうしたことにもかかわらず、ハマスが外交上の孤立から脱することは簡単なことではありません。
まず、トルコとロシアがハマスに好意を示すのは、中東地域における自国の利益を擁護するためで、ハマスの政策を認め、支持するのではありません。ハマスと接触するのは、アメリカやイスラエルとハマスとの対立を利用して、斡旋国として主導権を握るためです。
次に、トルコはイスラエルとの関係が密接で、イスラエルと軍事同盟を結んでいる唯一のイスラム国です。イスラエルとの善隣友好はトルコ外交政策の重点とされます。ロシアは、露米戦略関係の大局を維持しながら、イスラエルとの関係をも配慮しなければなりません。イスラエル側の協力がなければ、ロシアは中東問題で役割を果たすことができません。したがって、ロシアがハマスの訪問を要請した目的は、その柔軟性を求めるためだといわれます。
イスラエルがハマスに対し強い反発を示していることから、トルコ政府は今回のハマス訪問に控えめに対処しています。トルコ政府関係者は「ハマスは、政府の招きではなく、トルコの与党の招きで訪問した」と強調しています。一方で、トルコのギュル外相は当日、中東問題に関わる四者の、ハマスに対する政策を支持するとイスラエルに約束し、ハマス側にもこの姿勢を表明しました。
ハマスが政権を握ることが確実な状況の下で、イスラエルとアメリカがハマスに経済と政治の封鎖を行なっていると同時に、トルコとロシアがハマスと接触することは、ハマスの政治上の勝利によってもたらされる中東情勢の行き詰まりを打開するのに有利だとされています。これによって、ハマスは外交上の孤立から脱出できるかどうかはまだこれからを見なければなりません。
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