前日、IAEA・国際原子力機関は理事会の加盟国と国連安保理に対し、イランの1737号決議の履行状況について報告書を提出しました。この報告書はイランが、核活動を中止していないことを確認したものです。この結論は予想されていたものの、報告書が提出されてから一週間もたたないうちにイランの核問題が激化し、イランとトルコの国境地帯で、衝突が起きました。これらの事態はイラン核問題が一段とエスカレートする可能性を示しています。
アメリカのチェイニー副大統領は24日、オーストラリアを訪問した際、「イランに対し、軍事行動を取る可能性を排除しない」と述べました。これに対し、イランのモッタキ外相は「アメリカは中東で第2の戦場を開く能力がない。対話を通じて、イランの核問題を解決することこそ唯一の選択だ」と述べました。また、イランのモハンマディ外務次官は「イランは対話そして、発生する可能性のある戦争を迎える準備を整えた」としました。
強硬な態度を見せると同時に、アメリカとイランは依然として、和解のシグナルを出し続けています。アメリカは、外交手段を通じてイランの核問題を解決するとの姿勢を堅持しているが、イランの核活動中止をその前提条件としています。一方、イランは、この前提条件こそが対話を阻止しているとしています。イランのアハマディネジャド大統領は先日、「イランの核活動を中止させるには、西側諸国もその核活動を必ず中止しなければならない」と強調しました。これは当然不可能なものです。これは、アメリカとイランの交渉の下地がまだ整っていないことを物語っています。安保理の5つの常任理事国とドイツは26日、ロンドンで会議を開き、イランが立場を変え、核活動を中止するよう要求します。現在の状況から見れば、この努力は実質的な成果を収めることが出来ないと見られてい ます。
このほど発生したいくつかの重要な事件はイランの核問題と密接に関わっています。その一つに、イランがイラク反政府武装勢力に対し兵器を提供したとの根拠を握ったとアメリカは表明したことがあります。これはイラク戦争前、イラクが大量破壊兵器を擁しているとの情報を得たとしたアメリカの表明とよく似ているところがあります。そのニはIAEA の 報告書がイランの核問題を新たな段階に引き上げたということです。1737号決議に基づき、イランがウラン濃縮を中止しなければ、安保理は武力を除く制裁を一段と強化することになります。その三は、朝鮮の核問題が大きく進展し、核紛争の解決に適当なモデルを提供したということです。
さらに、こうした敏感な時期に、アメリカの雑誌「ニューヨーカー」が、元米情報機関当局者の情報として、「このほどブッシュ大統領の命令を受けてから24時間以内にイラン爆撃を実施する特別委員会が国防総省内に設置された」と報道しています。
また、イスラエル側からの情報では、アメリカの爆撃の目標が核施設のほか、イラクに援助を提供する部門も含まれており、最終的な目的はイランの政権交代にあるとしています。
アメリカ国内の政治動向やアメリカの同盟国の態度、及び国際社会の努力などが今後のイラン核問題の解決に影響をもたらすでしょう。今のところ、アメリカの武力行使について、論じるのは未だ時期尚早言えそうです。
|