イランのテレビ局は21日、イラン軍当局が21日から3日間にわたって軍事演習を行うと報道しました。これは、国連安全保障理事会が対イラン制裁に関する1737号決議を採択した後、イランが行なう初めての軍事演習であり、同決議に対する強硬な態度を見せるものであると考えられます。
報道によりますと、今回の演習は、イランの首都テヘランの南東部から100キロ離れたギャルムサールで短距離ミサイルの発射実験を行うというものです。演習の目的は、これらのミサイルの自衛能力、作戦能力を試すことにあります。
イランのアハマディネジャド大統領は軍事演習の当日、「国連安保理の制裁決議は、イランの核開発を止めることができない。たとえ、このような決議があっても、イラン経済と核政策には影響がない」と再び強調しました。
去年、イランは、3度に渡る大規模軍事演習を行い、毎回、新型兵器を発表し、自らの国防力を誇示しました。しかも、今回も含めて、これらの軍事演習はいずれも、イランと国際社会の関係が緊迫している時に行なわれています。
イランは最近、国際社会、特にアメリカからの大きな圧力を受けています。このほど、アメリカは、新しいイラク政策を発表しました。その中には、湾岸地域の軍事強化する内容も含まれています。このほか、アメリカは、イランがイラクの内乱に干渉していることを理由に、イラクにあるイラン領事館を襲撃しました。
頻繁に行なわれる軍事活動と同時に、アメリカのライス国務長官はこのほど、中東歴訪を行い、イランを孤立させることを目的に、この地域の各国と連携を求めました。一部メディアも、アメリカが、この数カ月間のうちにイランの各施設に対する空爆を行うとの報道を行ないました。
このほか、EU・欧州連合も、安保理の1737号決議の履行を議事日程に上げました。イランの軍事演習は、これらの背景の下で行われたものです。
専門家は、イランが今回の軍事演習を通じて、より深い意図を示したいものと見ています。まず、イランは、核計画を堅持していくとの意思を示したいと考えられます。イランの宗教最高指導者、大統領、外相などの指導者はさまざまな場面で、核計画を続行させるため、『核拡散防止条約』からの脱退も辞さない考えを何度も強調しました。
またイラン政府が国内の不安な気持ちを落ち着かせたいというのも、もう一つの考えです。アハマディネジャド大統領就任後、イランの核問題は絶えずエスカレートし、イランとアメリカの対立も目立っています。これは、国内の一部の人の将来に対する不安を呼び起こしました。今回の軍事演習には、国民の自信を強め、更にイランに対し武力を行使しようとする国に警告を与える目的もあります。これに先だって、イランのラリジャニ核交渉主席代表は、「イランの軍隊は、アメリカのイランに対する軍事行動を恐れていない。既に作戦の準備は整ってた」との考えを示しました。
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