イランのアハマディネジャド大統領は2日、「イランは引き続き核計画を推し進める。国連による対イラン制裁決議は無効だ」との姿勢を示しました。同じくこの日、イラン政府のスポークスマンは、「もし西側諸国が引き続き核問題でイランに圧力をかけるのであれば、イランは、『核拡散防止条約』から脱退する可能性も排除しない」と述べました。10日前に安保理が採択した1737号決議に対し、「紙切れに過ぎない」というアハマディネジャド大統領の感情的な発言と比べると、今回、イランが『核拡散防止条約』から脱退すると警告した姿勢は、より強硬なものだと見られています。
まず、強硬な態度を示すというのは、イランが国際社会と付き合う1つの戦略です。2005年10月、アハマディネジャド大統領が就任して以来、国際社会、特に西側諸国とイランとの核問題を巡る軋轢は急速にエスカレートしました。2006年、イランは、ウラン濃縮活動を再開し、核計画を引き続き推進することを発表しました。ところが、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、中国、ロシアの6カ国による交渉が重要な段階に進んだ時や、国連安保理から大きな圧力を受けた時には、イランは、柔軟な姿勢を示すことになります。しかし、イランがこのような戦略を取る目的は、真剣に核問題で大きく譲歩するということではなく、主に時間とチャンスを稼ぐためであると見られています。
次に、強硬な態度を示す理由として考えられるのは、イランが現在の国際情勢の基本的な状況を判断した上で、示したものだと見られています。安保理が採択した1737号決議に対し、国際世論は冷淡な態度を取っています。その原因は、この決議が効果的なものではなく、イラン核問題に実質的な影響をもたらすことができないと見られているからです。また、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ、中国、ロシアの6カ国も各自の利益を持っており、イラン核問題での立場が一致しないため、イランにはまだ交渉の余地があります。
その三、イランは、核計画を国の中心的な利益だと看做しています。これを実現するため、イランは『核拡散防止条約』から脱退してでも惜しむことはないでしょう。『核拡散防止条約』には、一つの致命的な欠陥があります。つまり、脱退に対する懲罰措置に関する規定がありません。インド、パキスタン、朝鮮はいずれも、この条約から脱退した後、核実験を行いましたが、しかし、国際社会からの強力な制裁を受けることはありませんでした。このため、イランが、そのまねをする可能性はあると見られています。
最後に、アハマディネジャド政府が国民の支持を得ようとすることも、イランが強硬な態度を示す原因の一つでしょう。このほど、アハマディネジャド大統領の陣営は地方議会選挙で敗北しました。これは、内政の面での成果が少ないアハマディネジャド政府が、民衆からの力強い支持を得ていないことを表しています。このような状況の下で、核計画問題で大きな成果を上げることができれば、アハマディネジャド政府にとっては、イメージアップになるかもしれません。
現在、イランは依然として、核問題で大きく譲歩する姿勢を示していません。核問題を巡る関係各方面の交渉はより激しいものになるでしょう。
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