アメリカのチェイニー副大統領が20日午後東京入りし、2日間にわたる日本訪問を始めました。
今回の訪問は、ブッシュ大統領が先月イラクへのアメリカ軍増派計画を発表したことから、この問題に対する支持を求める狙いがあると見られています。
チェイニー副大統領の訪日は2004年以来の2回目です。
訪問期間中、チェイニー副大統領は安倍首相、麻生外相とそれぞれ会談を行い、朝鮮半島とイランの核問題、イラク情勢などについて意見を交換しました。
この後、横須賀基地を訪れ、アメリカ軍や日本自衛隊の幹部と会うことになっています。
ブッシュ大統領は先月中旬2万1500人にのぼるイラクへの兵員増派計画を柱とする新しいイラク政策を発表しました。
今回の副大統領の訪日はこの問題をめぐって日本の理解と協力を求める狙いがあるものと見られています。
2003年のイラク戦争開戦に対し、日本はアジアの重要な同盟国としてアメリカを支持し、イラク人道復興支援特別措置法を定め、自衛隊を派遣したばかりではなく、イラクの復興支援プロジェクトに対しても援助する意向を示しました。
一方、日本国内では「自衛隊のイラク派遣は恒久平和を求める日本の憲法に違反している」と反対の意見が出ており、日米軍事体制の一体化への憂慮も現れています。
ところで、チェイニー副大統領の訪日を前に、日本の防衛大臣と外務大臣がそれぞれ、アメリカのイラク政策を批判する発言をしました。
先月24日、日本の久間章生防衛大臣は記者会見で「イラクに核兵器がさもあるかのような判断で、ブッシュ大統領は(開戦に)踏み切ったのだろうが、その判断が間違っていたと思う」と述べました。
この発言について、安倍晋三首相は「イラク戦争に対する評価や復興支援は内閣として一致した考え方を持っている」と述べ、防衛相の発言は個人的な見解だと受け止める姿勢を示しました。
日本の防衛大臣の発言について、アメリカは外交ルートを通じて不満の意を示しました。
久間防衛大臣は去年の12月にも、イラク戦争について「日本政府は(米国の武力攻撃を)支持すると公式に言ったわけではない」と述べています。
この防衛大臣の発言に対して、アメリカ側は「久間氏の発言が撤回されなければ、日本側が求めていた日米安全保障協議委員会(2プラス2)の開催は難しい」との認識を示しています。
外交アナリストは「チェイ二ー副大統領の訪日日程の中に自衛隊幹部との会見はあったものの、防衛大臣との階段がなかったことはアメリカ側の不満の現れだ」と見ています。 (ジョウ)
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