アメリカの「ニューヨーク・タイムズ」が22日に報道したところによりますと、ブッシュ政権は、宗派間の衝突を解決し、国家治安改善の任務を担うようイラク政府に求める日程表を作っているとのことです。世論は、「この報道が事実であれば、ブッシュ政権のイラクに対する政策は大きく変わる」と見ています。
報道によりますと、イラクに駐留する多国籍軍のジョージ・ケーシ司令官、アメリカのハリルザド・イラク駐在大使、国防省の高官などが起草したこの日程表は、今年末までにイラクのマリキ首相に提出し、来年から正式に実施します。この日程表には、宗派の武装解除や、ほかの一連の政治、経済、軍事の任務も含まれています。
では、これまでイラク問題で戦略的な変更を拒否しているブッシュ政権は、何故イラク政策を変更するのでしょうか?専門家は「これは、ブッシュ政権がイラク問題で直面している圧力がますます大きくなってくるからだ」と見ています。
アメリカ軍がイラクを占領して3年半になりますが、イラク情勢は不安定な段階から各宗派の間の暴力衝突にエスカレートし、内戦が起こる恐れもあります。イラクでは毎日爆破事件や、衝突が繰り返され、死者が出ています。アメリカのある統計によりますと、イラク戦争が発生して以来すでに65万人のイラク人が死亡したとのことです。このほか、アメリカ軍が先週発表したデータによりますと、バグダッドの治安防衛措置が実施されてすでに2ヶ月となりますが、10月に発生した襲撃事件は前の月より2%増えたということです。これから見れば、バグダッドの治安戦略が失敗したことは明らかです。情勢をコントロールできないイラクはブッシュ政権が避けられない面倒な問題となっています。
そのほか、アメリカ軍の死傷者の増加はアメリカ人を刺激しています。10月に入ってから22日までに、イラクで死亡したアメリカ軍兵士はすでに78人に増え、今年に入ってから一ヶ月の間の死者の数がもっとも多くなっています。2003年イラク戦争が発生して以来、すでに2780人あまりのアメリカ軍兵士がイラクで死亡しました。
イラク情勢の悪化は続いており、アメリカ軍の死傷者数が絶えず増えていることから、ブッシュ政権は国内でますます大きな圧力に直面してきました。野党の民主党はこのことを利用してブッシュ政権を非難しています。民主党は「イラク戦争はすでに崩壊した状態にある。ブッシュ政権のイラク政策は完全に失敗した」と強調しました。それに、ブッシュ大統領が所属する共和党内部でも批判の声がだんだん強くなってきています。その上、アメリカ国内でのある世論調査によりますと、三分の二以上のアメリカ人がブッシュ政権のイラク戦略は失敗したと見ているということです。
圧力の下で、ブッシュ大統領は先週イラク情勢が非常に厳しいことを認めると共に、軍隊の会議を開き、イラクでの戦略戦術を変える必要があるかどうかを討議しました。イラク治安の日程表の制定は、ブッシュ政権が政策上の調整をせざるを得ないことを明らかにしています。
専門家は「現在、イラク情勢は開けられてしまったパンドラの箱のようで、いかなる治安日程表や、いかなる新しい戦略戦術も、ブッシュ政権を救うことはできない。『ニューヨーク・タイムズ』の報道が指摘したように、アメリカはイラクで一連の選択をしてきたが、いずれも最悪の選択であった」と見ています。
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