8日の最新統計によりますと、アメリカ議会の中間選挙で、民主党が上院100議席の内51議席を獲得しました。下院の選挙で少なくとも228議席を獲得したことが明らかになりました。このため、民主党は1994年の選挙で失った優位を再び獲得しました。
アメリカの民主党が12年ぶりに、議会での主導権を取り戻したことから、共和党がホワイトハウスと議会を牛耳ってきた状況が変わり、アメリカの外交・内政政策にも変化が生じるものと見られています。
事実上、いわゆる変化はもう現れてきています。それは、アメリカのラムズフェルド国防長官が圧力のもとで、辞任せざると得なくなったことです。これまでで、任期が最も長い国防長官として、ラムズフェルド国防長官は、アフガニスタン戦争とイラク戦争を主導しました。しかし、彼が取った方針の誤りから、イラクのフセイン政権が崩壊した後も、情勢は、改善の兆しを見せず、むしろ悪化する一方で、今では内戦になることが危ぶまれているところです。共和党が中間選挙で敗北した主な原因こそ、アメリカの民衆がブッシュ政権の対イラク政策に不満を感じていることにあります。
民主党の候補者たちは、選挙戦の前で、民衆党が勝利すれば、ラムズフェルド国防長官を罷免するようブッシュ政権に要求すると名言していました。また、一部の保守的な人々と軍事新聞なども、アメリカの対イラク政策を公の場で批判し、ラムズフェルド国防長官の辞任を促しました。民主党が中間選挙で勝利を収めた今、ラムズフェルド国防長官は辞表を出さざるを得ませんでした。今後は、ブッシュ大統領も、イラク問題に関する政策をやむを得ず調整していくものと見られています。
民主党の勝利は、イラク問題のほかに、ブッシュ政権の内政にも衝撃を与えています。中間選挙の失敗を受けて、ブッシュ政権は、積極的に進めてきた社会保障システム改革などの政策の放棄を迫られています。さきに議会の採択を得た減税政策も難航すると予想されます。
これしたことから、民主党が議会の主導権を握ると、ブッシュ政権は、今後、政策の執行が難しくなると見られてます。しかし、これには、逆の見方もあります。権力のブランスが取れると、両党がよ有効に協力し、不法入国など手を焼いている問題の解決に有利になるという意見が出てきました。民主党のナンシー・ペロシ下院院内総務がこのほど、ブッシュ大統領と電話会談を行い、アメリカが直面する問題について党派の利益を超えて協力して解決することで意見が一致しました。
民主党がこのような対策を取っているのは、下院での優位性がメリットをもたらすと同時にデメリットも避けられないことが分かったからです。メリットというのは、この2年間で、民主党が自分の政策を点検し、次に来る大統領選挙のために準備しておくことです。デメリットは、民主党員が何か民衆を失望させることをすると、選挙民から見捨てられるに違いないことです。
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