フランス、イギリス、ドイツ、アメリカ、中国、ロシアの6カ国の代表は、5日パリで会議を開き、イランの核開発に対する制裁方案を討議しました。会議後、フランス外務省は声明を発表し、「会議はイラン制裁問題で実質的な進展を収めたものの、具体的な協議に至らなかった」と述べています。
フランス外務省の声明は、「6カ国は国連安保理の採択した制裁決議案を認可し、制裁目標は疑いのある核開発に限定すると確認した。しかし、一部具体的な問題は未だ解決されておらず、討議を続けていく」と強調しています。
協議に先立ち、フランス、ドイツ、イギリスは先月28日、イラン制裁措置についての国連安保理の決議草案を起草し、中国、ロシア、アメリカにわたし意見を求めました。この草案には、経済制裁のほか、イラン人の海外旅行を制限することや、イラン当局の核開発活動に使われる可能性のある外国銀行に預けられたイラン人の貯金を凍結することが盛り込まれています。アメリカとロシアは、イランが初めて建設した原子力発電所・ブシェール原子力発電所問題で大きな意見の食い違いを見せています。しかし、国連の5つの常任理事国とドイツが制裁問題での分裂を避けるため、草案ではこの問題について強く触れませんでした。現在まで、ロシアなどの国は、依然として、EU ・欧州連合の提出したイランへの経済制裁決議案は厳しすぎると見ています。しかし、アメリカはこの決議案では、未だ緩すぎるとしています。
分析者は、「6カ国がイラン制裁問題で、なおも意見の食い違いを見せているため、制裁協議に合意できなかった」と見ています。
フランスは、これまで一貫して、外交手段を通じて、イランを交渉の場に戻らせようとしています。フランス外務省のマッティ報道官は、1日、「イランへの懲罰が目的ではなく、イランを交渉の場に戻らせ、6ヶ国が積極的に提案しながら、交渉をすることが目的だ」と述べました。
また、中国はこれまで、数回に渡って、「今回の会議を通じて、政治や外交手段によるイラン核問題の平和的解決を希望する」と表明しました。
さらに、ロシアはイランに対して強硬な制裁措置を実施することを支持しないと主張しました。ロシアは、フラスやドイツ、イギリスが草案を提出した後、イラン制裁に反対しませんでした。しかし、制裁が適当に行なわれるよう改めて強調し、草案の制裁規定は厳し過ぎると指摘しました。また、イラン国民に対する如何なる制裁にも反対することや、制裁期限を設置し、無期限制裁をしてはならないと強調しました。
アメリカは強硬な態度を見せていますが、イラク問題が中東外交における最大の難題となっていることから、イラクの隣国であるイランが、イラク情勢の悪化を希望していません。これはアメリカの利益に符合するだけではなく、イランは中東情勢に対して、大きな影響力を持つ大国として、イラク情勢の安定にとっても極めて重要だと考えています。こうした状況の下で、アメリカは、イランを窮地に追い込むことは出来ないでしょう。
一方、6カ国会議開催当日、イランのアハマディネジャド大統領は、「イランは国際圧力の下で、その核計画の実施を緩めることは出来ず、自ら核技術を掌握したことを祝う活動を行う」と述べました。
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