8月31日は国連安全保障理事会がイランのウラン濃縮停止を促すために設定した最終期限です。期限を目前にして、イラン、アメリカ、EU・欧州連合がどのような態度を示すのか、世界の注目を集めています。
予測された通り、イランでは、ウラン濃縮停止に関するどんな兆しも見られませんでした。31日、イランのアフマディネジャド大統領は、「核問題において、イランは国際圧力に屈服せず、脅迫を受けても退くことはない」と表明しました。
アメリカの態度も人々を驚かせています。31日、ブッシュ大統領はユタ州ソルトレィクシティで退役軍人団体に対する演説の中で、「イランが国連安保理の決議を守らなければ、それなりの責任を負うことになる。アメリカはイランの核兵器製造を許さない」と語りました。
ブッシュ大統領はまた、「世界はイランの過激な政権による重大な脅威に直面しなければならない。アメリカは引き続きほかの国と共に、外交ルートによるイラン核問題の解決法を探りたい」と語りました。タカ派とされる国連のボルトンアメリカ大使はメディアに対し、「イランはすでにIAEA・国際原子力機関への協力を拒否した。しかも、ウラン濃縮活動を続けている。これはイランがテヘランで核兵器の製造を行っていることを明らかにしたものだ」と語りました。ボルトンアメリカ大使はさらに、イランへの制裁を準備するよう国連安保理に求めました。
一方、イラン核問題交渉に重要な役割を持つEUは31日、態度を明らかにしませんでした。
EU のソラナ共通外交・安全保障上級代表は記者のインタビューに対し、「EUは31日に正式の返答をしない」と語りましたが、ソラナ上級代表の関係者によりますと、この日、ソラナ上級代表はイランのラリジャニ核問題首席交渉代表と電話会談を行い、近いうちに面会して交渉を行うことを明らかにしました。しかし、会談の具体的時間や場所については分かっていません。
また、IAEAのエルバラダイ事務局長は31日午後、IAEA理事会の加盟国や国連安保理にイランが安保理1696号決議の実施状況に関する報告書を提出しました。
IAEAはこの報告書の具体的内容について言及しませんでしたが、IAEAウィーン事務所の関係者によりますと、非公開のこの報告書は、イランが国連安保理の1696号決議を遵守せず、8月31日までにウラン濃縮活動を停止しなかったことを明らかにしたということです。また、報告書は、「イランは過去数日間および安保理の最終期限の直前になっても、小規模なウラン濃縮活動を続けている。イラン側による協力が少ないため、IAEAの核査察は難航している」としています。
報告書に対し、イランは直ちに反応を示しました。イラン国家原子力機構のサイディ副会長は31日イランの報道陣に対し、「この報告書はわれわれの希望に達していないものの、アメリカがイランに対して行っている宣伝は何の根拠もないことを明確にした。報告書はマイナスではなく、イランの核計画はIAEAの監督の下で行われていることを示した」と語りました。
8月31日、イラン核問題に関するこの最終期限が近づくにつれ、交渉に関わっている国や組織の関係は緊迫化しています。これからも事態の展開に目が離せません。(09/01)
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