パレスチナの二大勢力であるイスラム原理主義組織・ハマスと、パレスチナ民族解放運動・ファタハは、国際社会に認められる連立政権を樹立するため、交渉を続けてきました。しかし、この交渉は20日膠着状態に陥ったことから、新政権の樹立には依然として多くの課題を抱えているとされています。
「皆さんへのいいお知らせだ。われわれは民族連立政権の樹立の面で、大きな進展を遂げた。今月の末までに、新政権の希望が見えるのではないかと思う」。これは、10日前、アラファト議長死去2周年の記念式典で、パレスチナ自治政府のアッバス議長が述べたものです。
今年の初めにハマスが政権を握ってから、国際社会は、ハマスがイスラエルを認めないことや、暴力を放棄しないことを理由に、パレスチナへの経済援助を中断しました。これによって、もともと困難に陥っているパレスチナ経済は崩壊に追い込まれました。これについて、パレスチナ人は、一日も早く新政権を樹立して国際社会から認められ、経済封鎖から脱け出すことを望んでいます。
交渉が中断されたことについて、アッバス議長のアムル補佐官は20日、ヨルダン川西岸の町アマラで行われた記者会見で、「ファタハとハマスは、新政権の内相と財務相の人選で違いがあったことで、交渉は中断されている」と明らかにした後、交渉によって得た唯一の進展は、新しい首相の人選で合意したことで、これは長い道のりで踏み出した第一歩であると強調しました。
しかし、ハマスの指導者で、パレスチナ自治政府のハニア首相は、交渉の中断を否定し、「双方のハイレベルな話し合いは続けている。議長と私本人はいずれも出席している。今、話し合いは続けているし、これからも継続していく」と話しました。
けれども、交渉に深刻な食い違いが起き、中断されたことは、これが初めてではないと、世論はみています。これについて、パレスチナの大学の政治専門家のイサ博士は、「ハマスがイランやシリアなどの強硬な勢力と緊密な関係を保っている一方で、ファタハは比較的穏健なアラブ諸国やアメリカ、欧州などと良好な関係を持っている。だから、双方の対立は、事実上政治理念の違いであり、単なる政権樹立という問題ではない」と分析しています。
さらに、交渉の動きについて、イサ博士は、「双方は共に一歩下がって譲歩しなければならない。人々が期待しているのは、山積されている問題の解決、特に財政問題の解決であり、誰が首相になって、誰が政権の座に座るかということではないからだ」と述べました。
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