パレスチナ自治政府のアッバス議長は21日「世界経済の中東フォーラム」が開かれているエジプト東部シャルムエルシェイクでイスラエルのペレス副首相、リブニ外相と非公開会談を行いました。これは、ハマスが今年立法委員会の選挙で勝利を収め、新政府を発足させてから、パレスチナとイスラエルの間で開かれた最もレベルの高い会談となっています。
ハマスがパレスチナ政府の政権を握ってから、イスラエルは、パレスチナとの政府間の接触をいっさい絶ちました。その後、パレスチナ側に代わって徴収した税金の引渡しを拒みました。更に、アメリカとEUもパレスチナへの直接的経済支援を停止しました。一方、パレスチナ新政府は、イスラエルの生存権を認めない、武力を放棄しない、そしてこれまでに双方が調印した協定を認めるなどの姿勢を示しています。双方は強固な立場を堅持しているため、抵抗と対話の十字路に来ています。こうした背景から、パレスチナとイスラエルがシャルムエルシェイクでハイレベルの会談を行ったことは、国際社会から注目を集めました。
報道によりますと、この会談は40分にわたって行われました。国際アナリストは、この会談は、少なくとも次の3点で一定の成果を収めたとしています。
まず、この会談は、パレスチナとイスラエルの最高指導者の会談にいい環境を作りました。イスラエル高官によりますと、アッバス議長はリブニ外相との会談で、イスラエルのオルメルト首相とアッバス議長との会談の準備活動について相談しました。ペレス副首相は、「オルメルト首相はアッバス議長との会談で、双方の和平交渉が再開し、パレスチナとイスラエルの間の和平プロセスを推し進める可能性を討議する」と述べました。リブニ外相は、「イスラエルは経済問題についてパレスチナ側と協力したい。イスラエルはパレスチナ人民の選択で彼らに処罰をしてはいけない」と語りましたが、「イスラエルはハマス政府と接触しない方針を堅持したい」と強調しました。
第二に、パレスチナとイスラエルは、この会談で、中東和平のロードマップの有効性を改めて確認しました。ロードマップの目的は、イスラエルと平和的に共存する独立国パレスチナを樹立することです。しかし、去年、イスラエルは一方的行動を取って、ガザ地区とヨルダン川西岸の一部の地域から一方的に撤退しました。今年、オルメルト氏が首相に就任してから一方的行動を更に強化し、ヨルダン川西岸から撤退してから一方的に境界線を画定し、引き続き、ロードマップを棚上げしています。この会談後の記者会見で、アッバス議長はマスコミに対して、「これからの会談で、イスラエルが交渉に戻るよう催促する。また、ロードマップに基づいて、イスラエルと交渉する」と述べました。
第三に、リブニ外相は、「イスラエルは、代わりに徴収した1100万ドルの税金をパレスチナに引き渡すことを決めた。これはある程度、パレスチナの人道的危機を緩和させることが出来る」と述べましたが、別の報道によりなすと、リブニ外相によって、この税金は、現金ではなく、医療支援の形で、パレスチナに手渡すとのことです。
国際問題専門家は、今回の会談をまとめると、イスラエルは今のパレスチナ政府との接触を拒否しますが、双方の指導者は和平交渉を再開するため、討議を行う意欲があります。これはこの地域の安全と安定にプラスとなります。(翻訳:ハルオ)
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