イスラム原理主義組織ハマスとパレスチナ民族解放運動ファタハは1日、ガザ地区で激しい武装衝突が発生し、少なくとも8人が死亡し、数十人が負傷しました。これはハマスが今年3月に新しい自治政府を発足させて以来、パレスチナ内部で発生した最も大きな武装衝突です。

 　ファタハの影響力が強いパレスチナ治安部隊はこの日、ガザ地区でデモ行進を行い、ハマスが率いるパレスチナ自治政府が、半年間政府のスタッフに給料を払わなかったことに対し抗議しました。デモの参加者は、ガザ地区のメインストリートを封鎖し、道路の中心に燃やしたタイヤとゴミを放置しました。ハマス政府はこれを追い払うため、数千人の武装メンバーをガザ地区に配置しました。その後、双方の間では、激しい衝突が発生しました。目撃者によりますと、双方の最も激しい交戦は、パレスチナ評議会庁舎付近で発生し、子供2人を含む4人が死亡したということです。また、地元の病院やガザ地区南部の町などでも、パレスチナ治安部隊メンバー2人と　ファタハの支持者2人が死亡し、70人あまりが負傷しました。

　なお、ハマスとファタハの衝突はさらに、ヨルダン川西岸地区に広がりました。千人あまりのファタハの支持者は、パレスチナ自治政府のビルに突入し、ハマスの一部の閣僚とパレスチナ立法委員会の事務室に放火しました。

　衝突のエスカレートを防ぐため、パレスチナ各方面は、衝突の早期解決を要求しています。ファタハの指導者でもあるパレスチナ自治政府のアッバス議長は1日、テレビ談話を発表し、今回の衝突を強く非難し、さらに内戦を防ぐため、冷静さを保つよう各方面に呼びかけました。そして、アッバス議長は、治安部隊の撤退と衝突に対する調査を要求しました。ハマスの指導者でもあるパレスチナ自治政府のハニヤ首相は、パレスチナ人同士の対立を解消し、団結を保つよう呼びかけた上で、1日夜にアッバス議長と電話会談を行い、共に今回の衝突を解決し、連立政権樹立交渉の再開に努めるよう求めました。

　しかし、専門家は、双方の衝突がパレスチナを内戦状態に陥らせると見ています。ハマスが今年初めにファタハを破り、政権をとって以来、西側諸国による経済的な封鎖の影響を受けて、ハマス政府は大きな財政危機に陥っており、半年間政府のスタッフに給料を払うことができませんでした。このため、民衆の抗議活動が絶えず発生し、今回の衝突は、これまでの最も大きなものだと見られています。パレスチナ自治政府のアッバス議長は1日、「双方は既に、40年来もなっかた緊迫状態になってしまった。しかし、パレスチナの指導者として、内戦の勃発を絶対許さない」と述べました。

　今回の衝突を受けて、パレスチナ連立政権の実現は、一層困難な情勢となってしました。ファタハとハマスは9月始め、連立政権を樹立すると発表しましたが、ハマスがイスラエルに対する承認を拒否したため、組閣の交渉は難航しています。さらに、アッバス議長はこのほど、国連総会で「新しい連立政府はイスラエルを承認する」と述べましたが、ハマスは、イスラエルを承認する政府への参加を明らかに拒否しました。このため、双方の組閣交渉は、膠着状態になりました。今回ハマスとファタハの衝突で、双方の矛盾が一層深まり、組閣交渉の再開は、さらに困難な情勢となっています。