パレスチナ自治政府のアッバス議長は11日、自らの支持母体であるパレスチナ民族解放運動・ファタハと自治政府内閣を率いるイスラム原理主義組織ハマスが統一政府を樹立することで合意したと発表しました。
パレスチナテレビに出演したアッバス議長は「ファタハとハマスは数日内に統一政府の組閣に着手する」と明らかにしました。
アッバス議長の報道官は「議長は48時間以内に現内閣を解散し、ハマスからのハニア首相続投要求に同意した」と述べました。
今年1月のパレスチナ評議会選挙でハマスが大勝し、ファタハに代わって議会で大多数の議席を獲得しました。
3月にハマス単独によるパレスチナ自治政府が発足しました。
これを受け、西側諸国はイスラム原理主義組織のハマスがイスラエルを承認しないという理由でパレスチナへの経済援助を停止しました。
そのため、ハマス単独政権は即時に深刻な財政危機に陥り、政府職員の給料を6カ月以上払っていないため、ハマスへの抗議デモが頻発し、公務員のストライキは継続しています。
更に、財政危機は深刻な社会危機に発展し、単独組閣以来、ハマスとファタハの支持者の間で武力紛争も頻発し、百人以上が死亡しました。
今年6月、パレスチナ武装勢力はイスラエル軍兵士を拉致したため、イスラエル軍はガザ地区に対する大規模な侵攻を実施しました。
こうした原因でパレスチナの財政・社会危機は一層深刻化しています。
この6月、イスラエルによって投獄されているパレスチナ各派の高級幹部はパレスチナの基本政策に関する提案を発表しました。
このパレスチナ基本政策案は「東エルサレムを含むヨルダン川西岸とガザ地区でパレスチナ国家を樹立する」とし、間接的にイスラエルを承認することになっています。
ファタハとの協議でハニヤ首相はイスラエルへの間接的承認を受け入れています。
西側はファタハとハマスの統一政府樹立を歓迎すると共に、「イスラエルを承認し、武装勢力の武装を解除し、イスラエルとの条約を承認する」とこれまでの三つの条件を強調しました。
一方、ハマスはイスラエルへの直接承認を表明せず、ズフリ報道官は「統一政府樹立で合意したものの、イスラエルへの承認はあり得ず、武力抵抗を継続していく」と表明しました。
パレスチナの統一政府樹立声明に対し、イギリス、アメリカなどパレスチナの主要援助国は「援助再開は組閣結果によって決める」と慎重さを示しています。
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