中国農業省の高官と鳥インフルエンザ抑制防止専門家は10日、北京での記者会見で「中国南方地区の鳥インフルエンザウィルスは変異していない。中国南方地区の鳥インフルエンザウィルスが変異したという外国の報道は根拠がない。現在、中国がとった鳥インフルエンザウィルスの抑制防止措置は効果があり、今後この面における国際獣疫事務局などの国際機構との協力を強化していく」と表明しました。
このほど、「アメリカ科学アカデミー概要」に掲載された論文は「中国南方地区では、H5N1型鳥インフルエンザの変異ウィルスである"福建ウィルス"が分離された。このウィルスはすでに、ラオス、マレーシア、タイの鳥類にも感染し、東南アジア、ひいてはユーラシア大陸で三回目の鳥インフルエンザの大流行をもたらす可能性がある」としています。
これに対して、中国農業省獣医局の賈幼陵局長は北京での記者会見で次のように述べました。
「実は、新しく変異した"福建ウィルス"は存在しない。この論文が指摘した東南アジア諸国の鳥インフルエンザがわが国の引き起こしたものであるとか、世界の範囲で三回目の鳥インフルエンザの大流行するなどというのは、いかなる根拠もない。この論文が引用したデータは真実味に欠け、研究方法は科学的な基本が踏まえられていないため、その推論は成立しない。FAO・国連食糧農業機関やWHO・世界保健機関などの国際組織も同じような見解を持っている」と語りました。
また、賈幼陵局長は「中国の関係部門は、論文が指すウィルスとほかのウィルスの遺伝子を比べた結果、2004年2月に、中国の湖南省の二つの県にはすでにこのウィルスが存在しており、それは、新しく変異したウィルスではないことが判明した。」と強調しました。
また、この論文は「中国が使うワクチンは、現在、南方では流行している鳥インフルエンザ抑制に効果的ではない」と指摘しています。これに対して、中国国家鳥インフルエンザ参考実験室の陳化蘭主任はこう述べました。
「国家鳥インフルエンザ参考実験室としては、中国で、異なる時間、異なる地区でウィルスを分離した後、すぐやることは、現在使っているワクチンで動物に免疫を作る。それから、分離菌株で攻撃して、ワクチンが分離した菌株に十分な効果があるかどうかを確認する。われわれの実験室のデータによると、現在のワクチンは南方の水禽の菌株を効果的に保護している」と語りました。
今年、中国ではあわせて10例の鳥インフルエンザ感染が発生し、13人が感染しました。これについて、賈幼陵局長は「現在、中国の家禽免疫密度はすでに95%を超えた。動物疫病感染情報報告ネットワークと疫病感染監督査察制度の設立により、効果的に中国の鳥インフルエンザ抑制が行われた」と述べ、また、中国が行った国際協力について、「中国で発生した鳥インフルエンザの感染状況はすべて、いち早くOIE・国際獣疫事務局に報告すると共に、FAO、WHO、香港、マカオ、台湾地区、および関連の国際組織に報告した。」と強調しました。
また、賈幼陵局長は「中国農業省は引き続きFAOとOIEとの協力を強化すると共に、中国衛生省と協力して、WHOとの協力を強化していく」と述べました。
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