シリアの首都ダマスカスで12日、アメリカ大使館に対する襲撃事件が発生しました。これは、アルカイダのナンバー2、ザワヒリ氏が湾岸地区のアメリカ標的に大規模な襲撃を行うと脅かした後、ここ数年シリア国内で初めて発生した外交施設に対するテロ襲撃です。このため、今回の事件は、国際社会の注目を集めています。
シリア通信の報道によりますと、4人の武装メンバーが12日午前、爆弾を仕掛けた自動車をダマスカス市中心にあるアメリカ大使館の脇に置き、もう一台の自動車に乗って、爆弾を起爆させた後、現場から脱出しようとしていたということです。シリア治安部隊は、これを発見し、武装メンバーとの交戦で4人を全滅させ、爆発を阻止しました。これに対し、シリアの内務相は、シリア治安部隊は武装メンバー3人を射殺し、1人を逮捕したとしています。
襲撃事件発生後、シリア内務省は声明を発表し、「襲撃者は、今回の襲撃で自動車2台、爆弾とライフル銃を使った。シリア治安部隊要員1人が死亡し、地元住民13人が負傷した以外、アメリカ大使館にいる外交官やスタッフの被害はなかった」と明らかにしました。その後、シリア駐在の中国大使館の確認によりますと、中国人外交官1人が軽傷を負ったということです。
アメリカ大使館が位置するアブルマネ地区には、他の国の大使館とシリア高官の住宅があります。中国大使館とアメリカ大使館は、1本の大通りを隔ててあります。現場では、アメリカ大使館の前で、全焼した1台の自動車と天然ガス瓶を満載した白い貨車が止まっています。近くの住民の話によりますと、アメリカ大使館の上には煙が昇り、激しい銃の音が聞こえたということです。ある目撃者は、「2人の武装メンバーはアメリカ大使館の前で車を降りて、シリア治安メンバーに向けて銃を撃った」と述べました。また、武装メンバーは大使館内に手榴弾を投げ込んだということです。
事件発生後、シリア駐在アメリカ大使館の高官はまだ、今回の襲撃事件に対する論評を発表しませんでした。アメリカ国務省の高官は、「アメリカはこの事件に非常に注目し、関係状況を確認しているところだ」と示しました。
現在、この事件に対する犯行声明を出した組織はありませんが、シリア駐在のイギリス大使はインタビューに答えた際、「今回の襲撃事件は、アルカイダの行為ではないようで、より小さな組織の行動に見える」としています。
これについて、専門家は、アルカイダが今回の襲撃事件を起こした可能性も大きいと見ています。原因は次のいくつかがあります。その一は、この事件の発生時間は、5年前のアメリカで起きた同時多発テロ事件と1日しか違っていないため、決して偶然な合致ではありません。その二は、アメリカ同時多発テロ事件の張本人であるアルカイダのナンバー2、ザワヒリ氏が11日、イスラエルと湾岸地区を今回の襲撃の目標にするというビデオ声明を出しました。
今回の事件に先だって、イスラエルはレバノン南部に対し、1カ月余にわたる大規模な空襲を行いました。これに対し、アメリカは、レバノンの被害を無視し、イスラエルを庇う政策を取っており、アラブ諸国とその国民の強い不満を呼び起こしました。このため、シリア国内の武装勢力がこの機会を利用し、事件を起こした可能性もあるという見解もあります。
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