アメリカのポールソン新任財務長官は、このほど中国を訪問し、20日にはブッシュ大統領の特別代表として、中国の呉儀副首相と共に、両国の経済での戦略的対話メカニズムのスタートを宣言しました。ポールソン財務長官は、訪問期間中、中米両国の経済協力と貿易でポイントとなる問題について、中国の政府高官と会談することになっています。中国のことに詳しいポールソン財務長官は、人民元の為替相場と両国貿易の不均衡などの問題について、みずからの見解を表明しています。そこで今日のこの時間は、ポールソン財務長官の談話をご紹介しましょう。
これまで、アメリカの一部の政治家と企業の代表は、中国政府は輸出拡大のため人民元の切り下げを実施したと非難し、これによってアメリカの対中国貿易では巨額の赤字が出たとして、人民元レートの引き上げを要求してきました。
これについてポールソン財務長官は、人民元の切り上げよりも人民元の相場の一層の市場化を図り、中国の金融業の開放を推し進めることがもっと重要であると見ています。ポールソン財務長官は、20日夜の記者会見で、「長期的に見れば、中国には、市場の変動に基づく人民元の相場メカニズムが必要だ。これには健全化した資本市場が必要であり、金融システムの十分な開放を前提とする。いま、それら前提条件が揃っていない中国にとっては、その実現には時間がかかる」と述べています。
為替相場にかかわる貿易摩擦問題は、中国とアメリカとの貿易などでのもう一つのホットポイントです。このほど、アメリカ上院の2人の議員は、中国からの輸入品に27.5%の報復的関税を課す法案を提出し、また、人民元の切り上げを求めていますが、この法案の表決は、今月末に行われるということです。これについてポールソン財務長官は、貿易保護主義に反対するというジョン・スノー前任財務長官と同じ見解を表明しました。ポールトン財務長官は、「中国からの輸入品に税を課すこの法案に反対する。貿易保護主義的なこの提案を放棄するよう議員に勧告する」と話しています。
ところで、広い範囲での共通した利益は、中国とアメリカの貿易協力における基盤となっています。ポールソン財務長官は、今度の経済での戦略的対話メカニズムの実施を通じて、双方の食い違いを処理し、長期的、かつ安定した貿易と経済協力関係を築くことを期待しています。
これに対し、中国の呉儀副首相は、「この対話メカニズムの確立とその実施は、中米両国の経済協力と建設的な信頼関係を築くだけでなく、世界の経済発展とその安定、安全にもプラスになる」との見解を示しています。
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