日本の安倍晋三首相は18日、麻生太郎外相の、「核保有の是非について議論する必要がある」との発言を受け、「日本は、核兵器の保有を求めない。それをめぐる議論はもう終わった話だ」と述べました。
日本の麻生太郎外相は、18日の衆議院外務委員会で、朝鮮の核実験問題について、「隣の国が核兵器を持つことになった時に、日本が核保有の是非を検討するのもだめ、意見の交換もだめというのは一つの考え方だと思いますが、議論をしておくのも大事なことだ」と述べました。
また、これに先立ち、自民党の中川昭一政調会長は15日、テレビ番組で、「日本が核兵器を持つと、攻撃される恐れがなくなる。核兵器の保有について議論しないといけない」と指摘しました。
政府高官が核保有について相次いで発言したことに対して、日本のメディアは、30年前、政府は、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を発表し、それを国是として堅持してきたが、今回の中川政調会長と麻生外相の発言は、この国是への挑戦であるとして、国内外で強い反応を引き起こすことになるとみています。
1968年1月、日本の佐藤栄作元首相が、国会での演説で、日本は、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という『非核三原則』を初めて明らかにしました。71年11月、衆議院本会議で、その順守が決議され採択されました。その後、日本の歴代政府は、その原則を国の政策の基本として、堅持してきました。
しかし、「非核三原則」が発表された後、日本の一部の人は、それを見直そうとしたり、否定したりするという挑戦的な言動を続けてきています。とくに、2000年に入ってから、この問題が表面化しつつあります。核兵器の保有に賛成する人は、政府要人から、一般民衆までいるようになりました。今年春、日本が核兵器を持つのがよいか悪いかについてたずねたアンケート調査では、それを受けた6805人のうち、「持ったほうがいい」と答えた人は半分近くに上ったということです。
とはいっても、現在、日本では、非核三原則を堅持するというのが依然として主流の立場です。安倍晋三首相のほか、久間章生防衛庁長官は、「現在、日本の核保有について、政府で議論することもないし、議論する必要もない」と述べました。また、民主党の鳩山由紀夫幹事長は、大阪府茨木市で、核保有の議論をめぐる中川昭一自民党政調会長の発言について、「日本は、唯一の被爆国だからこそ、核廃絶の方向で世界をリードしていかなければならない」と指摘しました。そして、塩崎恭久内閣官房長官も、このほど、「非核三原則は堅持する」と、日本政府の立場を改めて強調しました。さらに、原爆の被害を受けた長崎市の伊藤一長市長も16日、自民党の中川政調会長の発言について、「被爆者をはじめ、市民も怒りと不安を感じている」と抗議しました。
日本で非核三原則をめぐって議論が相次いでいることは、国際社会の反応を起こしています。中国外務省の劉建超報道官は17日、記者会見で、「核拡散防止条約」の締約国として、条約の内容を厳格に履行し、非核三原則を堅持し、地域の平和と安定を維持する面で責任感を持つよう、日本に希望しました。また、アメリカのブッシュ大統領とライス国務長官も、テレビのインタビューで、日本が核兵器を持つ必要はないと発言しました。その中で、ライス国務長官は、「アメリカは、朝鮮の隣国である日本が、核兵器保有国になることを許さない」と明らかにしました。
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