中国の温家宝首相の招きに応じて、日本の安倍晋三首相が8日北京入りし、中国に対する正式訪問を行いました。中国外務省の劉建超報道官は、安倍首相と温家宝首相、胡錦涛国家主席との会談が終了したのをうけ、「中国指導者は安倍首相の対中関係に示した積極的な姿勢に賞賛の意を表した」と述べました。
8日午後、中国の温家宝首相は北京の人民大会堂東門外の広場で安倍首相の訪中歓迎式を開催した後、一時間半にわたる会談を行いました。温家宝首相は「中日両国の友好協力関係の発展は両国国民の根本的利益と一致するものだ」とした上で、また、「このほど、中日両国の共同の努力を経て、両国関係の発展を妨げる障害を克服し、両国関係の安定した健全な発展を推進することで意見の一致を見た。われわれは中日関係の大局を重んじ、世界の流れに順応して、さらに中日両国の友好関係を発展させていくべきだ」と述べました。
これに対して、安倍首相はその日の東京と北京の天気を話題に両国関係への期待を示し、「雨が降った後には空は晴れ渡る、『雨過天晴』という言葉があると聞いておりますが、日中関係におきましても、これから未来は晴れ渡っていくように、しっかりと首相同士の信頼関係を落ち着いていきたいと思います」と述べました。
会談で、温家宝首相は中日関係を安定的、かつ健全に発展させるには靖国神社問題を適切に解決しなければならないとして、これからの中日関係の発展における五つの提案を出しました。この五つの提案では、まず、両国首脳の相互訪問を実現して、定着させ、各レベルの意思疎通と交流を密接にして、政治的な相互信頼を増すこと;第二に、戦略的対話を続け、互いの関心に気を配り、両国関係の改善や発展にかかわる重大問題を深く研究すること;第三に、経済技術協力の仕組みを整備し、各分野における中長期協力計画を確立して、両国の貿易関係のより大きな発展に向け、努力すること;第四が、文化、教育面の交流に力を入れ、民間レベルの往来を拡大して、両国国民の友情を深めること;そして、第五が、地域問題についての話し合いを強化して、東アジア地域の協力を推進することとしています。
その日のうちに、中国の胡錦涛国家主席も安倍首相と会見しました。その席で、胡錦涛国家主席は「中日双方は戦略的な立場と長い目で両国関係を見るべきだ」とした上で、日本が引き続き平和国家への道を歩み、地域や国際問題で積極的な役割を果すことに歓迎の意を表しました。
日本の安倍晋三首相は温家宝首相、胡錦涛主席との会見で、両国関係に影響する政治的な問題を克服し、両国関係の健全で安定した発展を促進するという両国の共同認識に従って、歴史問題を適切に解決する意向を示しました。
安倍首相は会談後の記者会見で、「政治と経済という二つの両輪をそれぞれ力強く動かしていくことが大切である。そして、この両輪を作動させていくことによって、日中関係を高度の次元に高め、全世界の課題の解決に取り組む戦略的互恵関係を続いていくことで一致をおいだしました」と述べています。
中国外務省の劉建超報道官は8日に行われた記者会見で、「双方が話し合った内容は幅広く、率直に意見を交わせた」として、さらに「中国指導者は安倍首相が就任後まもなく中国を訪問したことを歓迎すると共に、その対中関係に示した積極的な姿勢を高く評価した」としています。
さらに、中日双方が8日、共同声明を発表して、政治、経済、安全保障、社会、文化などの分野で多様な交流と協力を行うことに意見の一致を見ました。
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