日本の安倍晋三官房長官は20日に開かれた自民党総裁選挙で、過半数を大きく上回る464票を獲得し、当選しました。現在、自民党は議会の第一党であり、何事もなければ、安倍官房長官が、日本の次期首相になります。これは、小泉政権がまもなく終了することを意味しています。しかし、安倍氏が率いる日本政府は、まさに外交の十字路に立っています。外交の分野で、安倍氏は、日本をどんな方向に導くのでしょうか。これについて、中国国際放送局の記者は、中国社会科学院日本研究所政治室の高洪教授にインタビューしました。
高洪教授は、「全体的にみれば、小泉首相は、日本外交にマイナスの遺産を残しただけといえる。特に、アジア諸国との外交は、失敗に終わっている」と述べました。
その証拠として、日本政府と緊密な関係をもつアメリカでは、今月13日、アメリカ衆議院国際関係委員会が関連決議を採択し、「日本政府は、慰安婦問題について、文書で謝り、若い世代への教育を徹底すべきだと呼びかけました。また、14日には、「日本と隣国関係」をテーマとする公聴会を開き、アメリカのベテラン議員が、日本の一部の指導者の誤った歴史観念とこれによる北東アジア諸国との緊張関係を鋭く非難しました。また、次の日本首相は靖国神社への参拝をやめるよう明確に要求しました。これについて、高洪教授は、「アメリカは、日本の次期指導者に対して、プレッシャーをかけている」としています。
「これは、アメリカが、小泉首相ではなく、小泉首相の後継者に、歴史問題やアジア隣国との関係において、小泉時代の方針をそのまま受け継いではいけないというシグナルをあらかじめ伝えたものと見られる。なぜなら、それは、アメリカの戦略に合わないだけではなく、日本の右翼が歴史や戦後秩序などを再び問題化させることによって、アメリカの利益も損なわれるためである。」
高洪教授は、また、「アメリカの戦略では、日本は、アジア、とりわけ、北東アジアにおいて、アメリカをサポートする役割を担っている。そのために、この地域において影響力を持たなければならない。しかし、小泉首相が、中国、韓国、ロシアとの関係をうまく作ることができなかったため、日本は、この地域において発言権を失い、さらに、その3カ国から孤立した状態にある。これでは、日本は、アメリカにとって価値がなくなってしまう」と分析しています。
20日に行われた自民党の総裁選挙で、安倍晋三氏がほかの候補者を大差で破り、総裁に選出されました。これについて、高洪教授は、日本の将来は、安倍氏がどのような外交方針を取るかによって決まると見ています。
「安倍官房長官は自らの著書『美しい国へ』の中で、任期内に国民に誇りを、子供に幸せを感じさせる国づくりの理念を打ち出した。これはきれいなスローガンだが、このような国づくりをいかに実現させるかについて、考える必要がある。持続的な安定した発展を堅持し、隣国や世界と平和的な関係を保つのは、日本国民の幸せを実現させる前提だ」
高洪教授はまた、「中国と韓国は一貫して小泉首相に対し批判の態度をとってきた。これは、自らの原則の問題だけでなく、小泉首相が東アジアの国際環境を破壊していることに原因がある」と指摘し、さらに次のように述べました。
「安倍官房長官は、優れた責任ある日本の新しい指導者として、この点をはっきり認識し、歴史問題や隣国との往来問題に、実務的なやり方で対処すべきだ。また、歴史、日本国民そして、アジア太平洋地域の人々に正しい答えを出すべきだ」
一方、高洪教授は、もし今回の指導者が再び独断的な態度を堅持すれば、日本は、さらに間違った路線を歩んでいくだろうと憂慮しています。これは、日本国民の利益に背くだけでなく、この地域の調和に影響することになります。
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