パレスチナ解放機構のアリカット交渉局長が24日「自治政府のアッバス議長は25日か26日、ガザ地区で統一政府樹立をめぐり、ハマスの最高幹部ハニア首相と協議することになった」と明らかにしました。
アッバス議長の支持母体であるファタハとイスラム原理主義組織ハマスは今月上旬、「ハマス単独の自治政府の代わりに統一政府を樹立する」と発表し、国際社会の経済援助復帰と社会・財政危機の打開を狙っていました。
しかし、この11日、ハマスは「イスラエル承認を拒否する方針を崩しておらず、これまでパレスチナとイスラエルが締結した協定を受け入れられない」と改めて強調しました。
これを受け、アッバス議長は統一政府樹立をめぐる協議を一時停止し、国連総会に出席するためニューヨークに出発しました。
国連総会で一般演説したアッバス議長は「ハマスとの連立政府はイスラエルを承認し、パレスチナ武装勢力の武装を解除し、これまでイスラエルと締結した協定を受け入れると国際社会による三つの条件を満たす」と明らかにしました。
これに対し、ハマスは「イスラエル承認の統一政府に参加しない」との決意を示し、ハニア首相も「イスラエル承認の政府を率いる意欲はない」と表明しました。
ハマスにとってイスラエル承認はこれまでの方針が放棄されることになり、パレスチナ民衆におけるイメージが損なわれることになります。
このほどの世論調査で過半数のパレスチナ人がハマスによるイスラエル承認を希望しないことが分かりました。
パレスチナ自治政府のアッバス議長が内閣解散権をもっているものの、新内閣はパレスチナ評議会による採決が不可欠であり、パレスチナ評議会ではハマスが3分の2以上の議席を占めています。
また、当面の財政危機で総選挙の実施は現実的ではなく、実施されてもファタハが勝利できるかどうか疑問視されています。
パレスチナ統一政府の樹立は各派の支持も不可欠であります。パレスチナでは十数以上の宗派があり、不満があれば、武力衝突を回避できず、23日過激派の「民衆抵抗委員会」は「イスラエル承認の政府に徹底的に抵抗する」とし、一部宗派の支持を得ています。
国際社会では中東和平4者協議のメンバーである国連、EU、アメリカ、ロシアは先週、パレスチナ統一政府の樹立を支持する声明を発表し、国際的援助メカニズムを後3カ月延長すると決定しました。
EUはパレスチナ統一政府の執政綱領が国際社会の要求に応じるよう希望する一方、アメリカとイスラエルは「イスラエル承認と武装勢力の武装解除を明確にしなければならない」と要求しています。
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