レバノン・イスラエル問題に関するローマ国際会議が26日、開かれました。参加者は共同コミュニケに調印し、イスラエルとレバノンに対し、できるだけ早く武力衝突と敵対行動を停止し、恒久的な停戦を実現するよう促すとともに、この地区への国連平和維持部隊の派遣を呼びかけました。しかし、世論は「各方面には大きな食い違いが存在し、会議では停戦や、人道主義援助、平和維持部隊などに関する具体的なスケジュールが制定されなかったことから、会議は大きな成果はなかったと言える」と見ています。
今回のレバノン・イスラエル問題に関する国際会議は、イタリアとアメリカが共同で主催したものです。その目的は、停戦の実現や、レバノン南部地区における平和維持部隊の配置、危険地区への人道援助などを含むもっとも根本的な問題を解決することにあります。会議には、国連のアナン事務総長に加え、イタリア、アメリカ、レバノン、サウジアラビアなど10カ国あまりの高官、および世界銀行、EU欧州連合の代表が出席しました。会議の後、発表された声明で「国際社会は具体的なスケジュールを作り、レバノン、イスラエルの平和を実現するために努力する」と表明しました。しかし、世論は、「今回の会議では実質的に合意にも達することができなかった」と見ています。その理由について以下の数点を挙げました。
まず、レバノンとイスラエルの衝突が複雑な歴史と現実を背景としている点です。現在、主な紛争として、停戦問題、拉致されたイスラエル軍兵士の釈放問題、レバノン南部での平和維持部隊の配置問題、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの武装解除問題また、レバノン政府がレバノン全土でを実行コントロールするかといった問題があります。この状況の下、アナン事務総長は、この中のある問題を別の問題を解決する前提条件とすることに反対し、各方面がともに行動をおこすよう主張しています。これに対し、アメリカのライス国務長官は、まずヒズボラが武器を放棄しなければならないという主張をかたくなに守っています。このアメリカの態度は問題の解決に大きな困難をもたらしました。
また、今回の会議には、レバノンとイスラエルの衝突における関係者のいくつかが出席していません。レバノンとイスラエル問題の当事国の一つであるイスラエルや、ヒズボラと緊密な関係を持っているシリア、イラン両国は会議に出席しませんでした。アナン事務総長は「イランとシリアが衝突を解決する上で重要な役割を果たしていることから、この二つの国を重視しなければならない」と指摘しましたが、ライス国務長官は「中東地区の不安定要素を作っているのはシリアとイランだ」と非難しました。
第三に、レバノン南部へ平和維持部隊を派遣する問題で、関係各方面はそれぞれの考えを持っています。現在、イスラエルを支持するアメリカはすでに平和維持活動に参加しないと表明しました。NATO・北大西洋条約機構の報道官はこのほど、「平和維持部隊の派遣問題はNATOの議事日程に入っていない」と述べました。またフランスは「NATO部隊がレバノン南部地区に駐屯することに反対する」との立場を明らかにしています。そして、ドイツは明確には拒否していませんが、多くの条件を提出しました。
各側は、来週ニューヨークで会議を開き、レバノン南部への平和維持部隊の派遣について具体的に討議します。このほか、EU各国の外相は来週、レバノンとイスラエルの武力衝突について特別会議を開きます。専門家は「レバノン、イスラエル問題を最終的に解決するためには、関係各方面が誠意を持って、措置を講じる必要がある」と述べました。
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