イスラエルは7日夜、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラとの軍事作戦開始後、続けてきた空域封鎖を解除しました。また、国連レバノン暫定軍の配備が終わり次第、海上封鎖も解除するとしています。専門家は、イスラエルがレバノンでの封鎖措置を解除することにより、この両国の関係は安定した段階に入るものの、両国間の緊迫した状態を打開するには、両国を含む関係各国が一層努力しなければならないと見ています。
昨年までの数十年、レバノン政府は、イスラエルに対する政策や方針を、シリアとほぼ一致させてきました。去年、ハリリ元首相暗殺事件が発生した後、シリアは、29年にわたってレバノンに駐留していた軍隊を撤退させました。その後、親欧米で、シリア反対派が主となるレバノン新政府が発足しました。当時、世論は、レバノンが、イスラエルと和解する可能性が大きくなっていると考えていました。また、当時、イスラエルの外相だったシャローム氏は、「イスラエルとレバノンは、土地問題で、大きな食い違いはない。シリア軍がレバノンから撤退したことにより、イスラエルとレバノンの和平への道が開かれるよう期待する」と述べました。
しかし、その後間もなく、イスラエルとレバノンとの紛争が始まりました。イスラエルは、レバノンのインフラ施設を破壊し、民間人も殺害しました。それを受け、レバノン政府は、イスラエルに対して強硬な態度をとりはじめました。その後、レバノンとイスラエルとの軍事衝突の停止を受け、イスラエルのオルメルト首相は、先月、国連のアナン事務総長と会談し、「レバノンとの停戦が両国間の恒久的な和平協定の基礎になるよう期待する」と述べました。しかし、これに対し、レバノンのセニョーラ首相は、「レバノンは、イスラエルと和平協定を結ぶ最後のアラブ国家になるだろう」と語りました。
イスラエル軍が、停戦してもレバノンで空と海の封鎖を続けていることに対し、今月2日から、レバノンのベリ国会議長をはじめ、政府高官や国会議員たちが、強い抗議を行いました。
このほど、イスラエルがレバノンでの空域・海上封鎖の解除を決めたことを受け、レバノン政府は、これは、レバノンに対する好意を示すのではなく、国際社会、特にアメリカからの圧力によるものだと見ています。レバノンのセニョーラ首相は、7日の記者会見で、「レバノンとイスラエルとの問題は、イスラエルの封鎖解除で終わることはない。レバノンの地には、『敵』の侵略が依然として残っている」と述べました。また、「シャバア農場から軍隊を撤退し、拘束されているレバノン人を解放するよう」、イスラエルに改めて要求しました。
専門家は、当面、レバノン政府は、イスラエルを信用しないだろうとし、この両国の関係が実質的に改善されることは難しいと見ています。
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