7月4日はアメリカの独立記念日で、スペースシャトル「ディスカバリー」の打ち上げは悪天候で2回延期された後、事故再発防止策が不備のまま、実行されました。
これは2003年のコロンビア空中分解事故以来2回目のシャトル打ち上げです。
2週間前、NASA・アメリカ航空宇宙局が「ディスカバリー」の7月1日発射を承認した後、アメリカ国内では異論が出ました。
1986年のチャレンジャーの空中爆破と2003年のコロンビア空中分解を受け、アメリカ国民およびNASA内部でもスペースシャトルの安全性に懸念を示していました。
去年「ディスカバリー」の打ち上げと無事着陸によりシャトルの飛行が再開されたものの、人々の不安は解消されていません。
今回の打ち上げは悪天候の影響で2回も延期され、発射前日の3日、シャトル外部燃料タンク表面の断熱材に亀裂が発見され、NASAは緊急会議を開き、現状のままで飛行が可能と判断しました。
1年ぶりに再開されたディスカバリーの打ち上げは外部燃料タンクの改良をテストします。
これまで外部燃料タンクの問題が頻発し、度々の打ち上げ延期や機体空中分解の主な原因となっています。
これを受け、NASAはシャトルの安全性向上を目指し、燃料タンクに対する様々な改善策を実施しました。
ディスカバリーはまた、ISS・国際宇宙ステーションへの物資補給も担っています。
コロンビアの空中分解で建設中の国際宇宙ステーションへの物資補給が問題となっています。
ディスカバリーは約2トンの生活物資と設備を搭載してISS に向かい、またステーション内のゴミを地球に持ち帰ります。
ディスカバリーには、ISSの交替要員で欧州宇宙機関のトーマス・レイター宇宙飛行士が搭乗しました。
国際宇宙ステーションでは、物資補給の問題により、予定された3人の長期滞在は2人に変更され、ディスカバリーの飛行再開でISSでの3人長期滞在が復旧します。
NASAは2009年に6人が長期滞在を目指し、ISSの増築を実施しています。
ISSの建設計画で竣工は2010年に予定されており、部品、設備、建築用品など、スペースシャトルは搬送作業の唯一手段であります。
世論は「ディスカバリーの飛行状況はスペースシャトル、アメリカの有人宇宙飛行の未来にとって決め手である」と見ています。
アメリカ国内ではシャトルの安全性が問題視され、民間団体などから批判を浴びています。
USSFF・アメリカ宇宙フロンティア財団は「シャトルの打ち上げは税の浪費だ」と非難しています。
NASA内部でも「スペースシャトルは世界初の再利用可能な宇宙船として1981年から飛行を開始し、今年は25年になった。その飛行年間をこれ以上続ければ、メンテナンス費用、打ち上げのリスクなど、いずれも多大である」との意見も出ています。
これに対し、NASAのグリフィン局長は「シャトルの打ち上げを減少させ、早期に退役させるべきである。事故が再発すれば、シャトルの後継機であるCEV・有人探査船が製造されるまで、有人飛行を中止する」と発表しました。
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