パレスチナのイスラム原理主義組織ハマスをはじめとするパレスチナ評議会が18日発足しました。このことは、パレスチナの政治が新しい時代に入ったことを意味しています。

　ヨルダン川西岸都市ラマラにあるパレスチナ評議会ホールには、当選したばかりの議員たちが当日就任宣言を行いましたが、このうち、初めて評議会に入ったハマスのメンバーも含まれています。先月の25日行われた評議会選挙で、始めて選挙に参加したハマスが評議会の132議席のうち、74議席を獲得し、これまで与党であったPLO・パレスチナ解放機構の主流派であるファタハに勝ち、組閣権を得たのです。

　評議会で勝利を収めたあとのハマスの主な任務は新しいパレスチナ政府をいち早く発足させることです。パレスチナ自治政府のアッバス議長は当日の就任式で「ハマスが順調に組閣することを期待している」と述べたあと
「ハマスはすでに評議会の第一政党になった。ハマスが首相をいち早くを任命し、新しい政府を成立させるべきだ。法に基づき、関連のすべてのプロセスをいち早く終えることを期待している。ハマスには必要とする支持を提供していく」と語りました。

　ハマスの高官はこのほど「ハマスは今回の評議会選挙での筆頭候補であるハニア氏を新しい政府の首相に指名することを決めた」と表明しましたが、このことについてハニア氏自身は「ハマスとパレスチナ評議会はパレスチナの合法的な権益を守り、われわれの根本的原則を忠実に実施していく」と話しました。

　ハマスの評議会選挙での勝利は、パレスチナの政治が新しい時代に入ったことを物語っており、また複雑で予測しがたいパレスチナ・イスラエル情勢に深刻なショックを与えたことになります。つまり、長い間、ハマスはイスラエルへの抵抗を堅持し、イスラエルの生存権の承認を拒否してきたことから、その選挙での勝利は国際社会からの注目を浴びているのです。

　アッバス議長は評議会の就任式で「パレスチナ自治政府の議長と新しい政府は交渉の実施を戦略的選択としていき、イスラエルに対する平和的抵抗を強めていく。パレスチナ人民は軍事的手段は紛争を解決できず、公正なる平和交渉を通じてこそ、民族の合法的権益を勝ち取ることができる」と話したあと「評議会のメンバーと新しい内閣はパレスチナとイスラエルとが達成した協議を尊重し、民族の利益を大切にし、今の緊迫した情勢を終わらせるよう期待する」と述べました。

　これに対し首相に指名されたハニア氏は「アッバス議長の談話は、われわれの間に意見の食い違いがあることを表明している。アッバス議長は己の主張を堅持しているが、われわれにも自分の選挙綱領がある。しかしパレスチナ自治政府とわれわれの間での意見の食い違いは、対話を通じて解決できる。これはパレスチナの民族の団結に役立ち、またパレスチナ人の根本的な利益にも合致している」と語りました。　

　一方、イスラエルのオルマート首相代行は「われわれはハマスを認めず、妥協することもなく、ハマスとは対話せず、いかなる協議の達成もありえない。ハマスはテロ組織である」としています。

　イスラエル側のこのような態度は今後のハマスの執政と両国の和平プロセスに影を差したともいえるのです。