ハマスとファタハは、22日共同で内閣を発足させることについて、初めて交渉を行いました。これはマスコミの注目を浴びています。

　先月、パレスチナ立法委員会の選挙が終わった後、新たに発足するパレスチナ自治政府に対して、各方面の注目が集まっています。パレスチナ自治政府のアッバス議長は21日、ハマスの指導者ハニヤ氏を新しい自治政府の首相に任命しました。その後、ハマスは内閣発足について、各党派との交渉をスタートさせました。

　22日、ハマスとファタハの指導者はガザ地区で会合を行いました。双方は会合の具体的な内容を明らかにしませんでしたが、国際問題の専門家は、「両党の政治綱領の調整と政府内権力の分配が会合の中で避けられない問題だ」と指摘しています。アッバス議長は、新しい立法委員会で議長就任の宣誓をした際、ハマスが率いる新しい自治政府はパレスチナとイスラエルが調印した協議と中東和平のロードマップに従って、交渉でイスラエルと平和を実現するよう要望を出しました。ファタハの指導者は21日、ハマスの政治綱領のうち、特に、実質的な問題において60%の内容がファタハと同じであれば、ファタハは新政府への参加を真剣に考えます。また、政府権力の分配、特に重要部門、例えば、安全や外交部門について、激しい権力の争いが避けられないとみられています。

　ハマスは立法委員会で多数を占めており、原則としては単独で内閣を発足させることが出来ますが、ハマスの指導者は立法委員会で勝利を収めた日に、ファタハと一緒に内閣を発足させたいと表明しました。これについて、国際問題の専門家は、その理由について、次の幾つかを挙げました。まず、ハマスが単独で発足させた自治政府では国際社会の理解を得にくいこと。2つ目は、ハマスは執政経験と人材も少ないこと。3つ目は、長く占領状態に置かれていたパレスチナは貧しく弱いので、各勢力の意見の食い違いと複雑な社会問題に対して、ハマスだけでは解決しきれないということです。もしファタハが新政府に参加すれば、ハマスはファタハの国際的影響力を利用して、国際社会からの圧力を緩和させることが出来ます。また、ファタハの十数年に及ぶ執政経験もハマス実力の不足を補います。

　ハマスとの連合政権について、ファタハ内部でも意見が分かれています。一部の人は両党の政治綱領の格差があまりにも大きいので、協力の基礎がないとしています。また、一部は、ファタハは、野党となり、党内部の整理を通じて力をつけ、次期立法委員会選挙での勝利を目指すべきだとしています。しかし、アッバス議長を含むファタハ指導者らはこの内閣への参加に強い意欲を示しています。専門家は、ファタハは、ハマスの焦る心理を利用して、アッバス議長の平和的な建国の道に導くことができるとしています。また、ファタハが新政府に入れば、自治政府と立法委員会をコントロールしているハマスを牽制し、アッバス議長をはじめとする自治政府はその政治綱領の実現に役立ちます。

　これについて、国際アナリストは、「ハマスとファタハはパートナーを必要とするという実情が連合政権に向けた一定の基礎となっている。しかし、政治的問題については意見の食い違いが数多くあり、両党間の交渉の成功は決して容易なものではない」とみています。