今日は日本の安倍晋三官房長官の自民党総裁選出馬と政権構想の発表について中国社会科学院日本研究所の金熙徳教授に話を伺いましたので、その内容についてお伝えします。
安倍晋三官房長官が1日広島で自民党総裁選への出馬を正式表明し、政権構想を発表しました。
日本のメディアが行った世論調査によりますと、安倍官房長官への支持率が他の候補を大幅にリードしており、次期首相への当選は確実になっています。
このため、今回発表された政権構想の内容から、次期政権の外交政策はどういう方向で行くのか、内外の関心を集めています。
この点について中国社会科学院日本研究所の金熙徳教授は次のような見解を発表しました。
金熙徳教授は「安倍氏は中国・韓国との信頼関係の強化を表明し、靖国参拝には触れていない。安倍氏は損なわれた中国・韓国との関係改善の姿勢を表した。この点は受け入れられるだろう。安倍氏は中国・韓国との関係を損なってきた小泉首相のやり方を見直すシグナルを出した。しかし、日本と中国・韓国との関係改善で日本首相の靖国参拝は決定的な要素である。これについては安倍氏の現在の行動や首相に当選した後行動や公約を注視する必要がある」と述べました。
政権構想の中で安倍長官は、また「日米同盟は世界とアジアのためであり、経済分野でも同盟関係を強化する必要がある」と述べています。
これについて金熙徳教授は「小泉首相の外交政策はアメリカへの追随が特徴であり、内外から批判を浴びている。しかし、安倍氏も日米同盟や日米軍事一体化の強化を表明した。安倍氏は日米同盟を美化し、それを東アジア諸国も受け入れられるような一般的な価値観にさせる意図がある。また、この日米同盟を全面的な協力に拡大させる目的がある」と述べました。
金熙徳教授は「当面の情勢で見れば、安倍氏の自民党総裁当選が確実になっており、首相当選も揺ぎ無くなっている。その政権構想の大枠を見れば、安倍内閣の外交政策は小泉内閣の新保守主義の路線を維持していくことになるだろう」と見ています。
この新保守主義路線について、金熙徳教授は「この路線はアメリカに依拠して、アジアを制すということである。すなわち、アメリカをバックに、日米同盟を強化することにより、東アジアおよび世界における日本の地位強化を図ることである。こうした政権構想の下で、安倍氏は小泉首相が維持してきた単純で一直線のやり方を調整するだろう。小泉首相は歴史・領土問題などで周辺国との関係を悪化させ、日本の外交は反発を受けている。この点を認識している安倍氏は言動や政策でいずれも慎重な対応を取っているが、しかし、その根本的な意図は政治大国や軍事大国への道を加速させることにある」と見ています。
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