日本の小泉純一郎首相が8月15日の靖国公式参拝を断行したあと、日本国内では批判の波が広がった一方、次期首相への重要課題、特に中国と韓国との関係改善に関心が集まっています。
16日の「毎日新聞」は「小泉純一郎首相が公約実現のため8月15日の靖国神社参拝に踏み切ったことで、靖国問題は小泉政権が残した重い課題として次期政権に引き継がれることになる。中韓両国との関係改善のハードルは一層高くなり、第二次大戦の戦争責任、靖国神社に合祀されているA級戦犯の取り扱いや憲法の政教分離規定の問題なども複雑に絡み合い、次期政権は難しい対応を迫られる。経済界を中心に対中韓外交の立て直しを求める声は広がっている」としています。
日本国内で主要経済団体のトップは相次いで日中関係の実質的改善を次期首相に希望しています。
日本経済団体連合会の副会長は「中国との外交正常化の早期実現に努力してい頂きたい」とし、御手洗富士夫(Mitarai Fujio)日本経団連会長は13日「世界各国の最高首脳と直接的な対話関係を構築するよう」と次期首相に希望を寄せました。
日本大企業の中国駐在代表も「首相の靖国参拝は必ず日本製品にマイナスの影響を与える。次期首相に日中関係の修復を期待する」と語りました。
しかし、次期首相への最有力候補である安倍晋三官房長官は靖国問題で曖昧な態度を取っているため、日本の経済界は「小泉首相の跡を継ぎ、対中外交でトラブルが出てくるのではないか」と懸念しています。
これをめぐって16日の「朝日新聞」は「安倍官房長官が靖国問題で曖昧戦術により、行き詰まったアジア外交を打開するためだ。だが、安倍氏はA級戦犯を戦争犯罪人と断じることをはっきりとは認めない。国を担う上で歴史観と戦争観はその核だ。いずれ語らざるを得なくなる。
首相が『二度と戦争は起こしてはならない』と繰り返し強調する『不戦の誓い』についても、安倍氏は積極的に言及したことはない。安部氏は国防政策に強い関心を持ち、集団的自衛権や一部の交戦権の行使にも前向きだ。
『戦う政治家』として政治信条を最優先するのか。それとも、『国民の声に耳を澄ます政治家』としてより現実的な路線を探っていくのか。安倍氏が首相の座に近づくほど、その選択は間近に迫ってくる。」としています。
安倍官房長官の「曖昧戦術」を念頭に自民党内では、片山虎之助参議院幹事長は「ポスト小泉候補は靖国問題への見解を言わないといけない」と指摘し、加藤紘一元幹事長も「アジア政策、特に靖国観に国内は勿論、諸外国からも鋭い目が向けられる。」と述べました。
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